037(ソルジャー)
俺は宴の間に行く途中、箱を見付けた。ATMだろう。
箱の前に立つと、『いらっしゃいませ〜。登録した片手をパネルに置いてください』と箱が喋った。やっぱり、ATMだ。
俺は右手を置くとタッチパネルに【おろす金額とお札の種類を設定して下さい】と出た。
とりあえず、10万。全部1万イース札でおろす。
【残高9億9990万イースです】と出る。
カシャカシャカシャっとカネがカウントされ、引き出し口から札10枚を取り出して、無造作にポケットへねじ込む。
『ありがとうございました〜』
俺は歩き、宴の間に着く。中はガヤガヤ賑わってるな。
俺はサッと宴の間に入り、空いてる席に座る。スコットの隣だ。いつもは幅を取っていた騎士団員が端に追いやられて、見慣れない連中、十数人が陣取っていた。
「やあ、ソウ」
「よう、スコット。元気か?」
「自分を労れよ。ケントカームの神経毒にやられたんでしょ?」
「もう治ったよ」
「凄いな、ソウは」
「それより、あの連中はなんだ?」
俺は幅を利かせてる連中を指差す。
「ああ、あの方達はラークバロン公国のソルジャーだよ」
「なんかデカイ態度をとってるな。そんなに偉いのか?」
「戦争の最前線で命懸けで戦ってるからね。位も総合的な戦闘力も騎士団より上だよ」
「ジャックよりも?」
「ジャックは……どうかな? 騎士団員だけど、身分は貴族だからね」
すると、連中の輪の中から1人のアマゾネスが俺の前にやって来た。
「お姉ちゃん、なんか用?」
「お前が、テオブロを倒した、ソウとやらか?」
「そうだよ」
「ふ〜ん、普通の男ね。もっと強そうなファイターを予想してたけど」
「予想が外れて残念だったね」
「魔法車が得意なんだってね」
「ああ」
「私も魔法車は得意よ。レキサスで180キロ出せるわ」
「そうか、俺はスカイレインで350キロ出せるよ」
アマゾネスの顔が曇った。ソルジャーってくらいだ、相当な訓練を積んでいるのだろう。それが、どこぞの馬の骨に負けたんだ。仕方ないな、アハハ。
「……じゃあね、坊や」
アマゾネスは戻っていった。俺は武勇伝をガンガン聞かせたかったのに。それに【坊や】って、苦し紛れか。年は大して変わらんだろうな。
「気にするなよ、ソウ。ロゼバロン酒を奢ってやるから」
「ロゼは高そうだな。くれくれ」
「ちょっとね。一杯3500イース程だ」
「それは悪いよ」
「僕も飲みたい気分なんだ」
俺はスコットに耳打ちする。
「資産10億イース持ってるから、俺が奢るよ。ドラゴン肉も」




