036(粋な計らいが)
俺は気が付くと、雲の上に居た。死んだ……? それとも、また夢か?
神々しい光が近付いてくる。
「神様、また死んだの? 俺」
「青年、南木曽よ。夢の中だよ。パァ〜!」
「神様、ふざけてるのか?」
「まあ、たまには良かろう」
いつもの神様だけど、酔ってんのかな?
「オールマンコ……テオブロは強くなった。転生して究極の肉体を手に入れたんだ。勝てる気がしない」
「さっきはチャンスだったのにな。街から離れた所なら封印魔法を使ってもバレにくかっただろうに」
「バレたら処刑だよ。それに封印魔法って俺でも使えるの?」
「お前の魔力なら使えんこともない。大丈夫だ」
「大丈夫じゃねえよ。全く他人事なんだから」
「だって天界に影響ないしな」
「テオブロは野心の塊だ。天界もうかうかしてられないよ」
「まあ、その時はその時だ。さあ、もう行け」
――俺は目が覚めるとベッドの上に横たわっていた。点滴を受けている。手の指先を動かし、次に足の指先を動かす。異常なし。
「だっ…………誰か」
白衣のお姉さんが来た。女医だろう。
「白魔法使いのティファです。解毒はもう大丈夫のようね」
「解毒? 毒を盛られた?」
「毒のタイプはケントカーム国で開発された神経毒よ」
「俺には急激なヒーリング能力がある」
「それで無事だったのね。普通なら3分で死ぬわよ。いつ毒を受けたの?」
「……あの時だ。オールマンコと闘ってる時に首にチクッとした」
「魔法剣士ジャックが言うには魔法車で350キロも出したんだって? 魔力とヒーリング能力は対になってると考えられる。普通ならね」
「それで毒が回ったか」
「もう大丈夫よ」
「今何時だ? 腹が減った」
「17時半よ。宴の間にでも行けば、食べ物はあると思うけど」
俺は点滴の針を抜き、立ち上がる。大丈夫だ。
お礼に粋な計らいをしよう。花だ、髪飾りに花を一輪、召喚しよう。
「ティファ先生、ちょっと待ってて」
「何?」
「お花のプレゼント」
ティファ先生の頭の上にパッと花を咲かせる。
ドスッ。
「痛〜い! 何するのよ!?」
可憐な花を召喚さたつもりが、ラフレシアを咲かして、ティファ先生の頭上に落ちる。
「あっ、すまん。可愛い花をプレゼントするつもりだったけど間違えた」
「慣れないことするから〜。全く」
俺は逃げるように急いで退室する。恥ずかしい。




