034(350キロ)
テオブロが岩の様に硬くなり、ジャックのショットは大剣が折れてしまったが、ネットにはかかってくれた。
「ジャック! 今の内にジンボ王子を魔法車へ運ぼう」
「ああ! ソウはスカイレインのリアシートを開けてくれ」
俺は助手席のシートを前に倒す。
ジャックはジンボ王子をリアシートへ詰め込み、助手席に乗る。俺は運転席に座り、スカイレインをスピンターンさせてラークバロンの方へ逃げる。
俺はルームミラーを見ると、テオブロはネットを破り、チーターの様に変形して四足で追いかけてくる。
ダダダダダダ――!
「銃声!? マシンガンか!?」
「オールマンコの腰に火器が着いてる! 急げ!」
持ってくれ! スカイレイン!
2速、80キロでギアチェンする。3速、150キロでギアチェンする。4速、200キロ。5速、260キロ。6速、320キロ。そして、7速、350キロ!
視界が点になる。試しにワイパーを動かすと風圧で戻らず、縦になってる。面白い!
ルームミラーを見ると、テオブロの姿はなかった。
「テオブロはもう追跡してないな?」
「あっ、ああ。怖い……」
「スピードを落とすぞ」
俺はアクセルから足を離してエンジンブレーキだけで減速する。
「ミッションクリア! 今日は美味い酒が飲めるぞ。腰が抜けてるけど」
「ジャックは酒癖が悪いから程々にしとけよ」
「何キロ出した?」
「スピードメーターのマックス、350キロだよ」
「このスカイレインは念のために分解だな」
「勿体ない」
「車体を酷使しすぎた」
「スカイレインには改良の余地ありだ。俺がプロ仕様に弄ってやるよ」
「これは完成度の高い魔法車だと思うが、まだ良くなるのか。凄いな、ソウは」
――俺達は何事もなく城下町まで帰ってきた。
「うっ……ここは……ここはどこだ」
「ジンボ王子、お目覚めですね。私です、ジャック・ストライフです。ラークバロン公国の魔法車の中ですよ」
「ジャック・ストライフ? なぜ、ここに……私はいったい…………」
「記憶がないのかな」
「お前は……? 近衛兵の装備だが」
「昨日ゼニア姫の近衛兵に任命された、ソウだよ」
「ジンボ王子はケントカーム族の手の者に連れ去られるところでした」
「そうなのか、不甲斐ない。済まぬ」
「まあ、助け出したし、結果オーライだね」
「しかし、オールマンコとの直接対決から逃げてしまった。奴を倒さなければ」




