031(加速)
俺はホクホク上機嫌で2人の元へ戻る。
「さあ、先を急ぐわよ」
「10倍返しの15000イースは給料が出てからでいいからな。行くぞ」
俺達は塔に向かう。後、100メートルくらいだ。
「ふんふんふふふ〜ん」
「ソウはご機嫌ね。“現実”を知って精神崩壊したかしら?」
「グフフ……前世で散々精神崩壊したから心を病んでたよ。10億イースで何が買える?」
「ソウ、10億イースもあれば一代貴族になれるぞ。外れたんだろ? 10倍返しはやめてやるよ。ハンバーガーで手を打とう、ハハハ」
「魔法癖ってのを登録されたよ」
「はぁ!? 魔法癖の登録は口座を持つという意味。待て待て…………って事は、当たったのか!?」
「だから、10億イース当たったって」
「嘘だろ!?」
「ソウ、カネに狂っちゃダメだからね」
「近衛兵の仕事は続けるから大丈夫だよ」
「10億イースって事は1000万分の1の確率…………それをたった5口で」
「ビギナーズラックって本当にあるんだね、アハハ。ドラゴン肉のハンバーガーを奢ってやるよ」
俺達は塔のふもとに着くと、ジッパー騎士団長が居た。
「ジャックとソウ、それに姫様! ジンボ王子が行方不明らしいですが、どうなってるのかの? 空挺が無許可で飛んでいったみたいじゃが」
「それはブラフだよ。本当は親書を持ってきたケントカーム族による誘拐だ。レキサスって魔法車を盗まれた」
「なんと! 事が事だ、戦争が激化するかもしれんな」
「ジッパー騎士団長、親書を持ってきた奴らは透明魔法、傀儡魔法、魔法車の運転が出来る。高度に訓練された敵兵よ」
「私とソウがジンボ王子を取り戻します」
「魔法車でケントカーム国まで1日はかかる」
「俺の魔力なら大丈夫だ。ゼニア姫は宮殿に戻ってくれ。必ずジンボ王子を連れて帰る」
「待ってられないわ、私も行く!」
「ダメです、ゼニア姫。危険すぎます。私とソウを信じて下さい」
「…………」
「姫様……」
ゼニア姫、もどかしいのは分かるけど、ここはいい子に待っててほしい。
「……分かったわ。ジンボお兄様を頼んだわよ! ジャックは“ポジション”を引き継いで」
「はい!」
ゼニア姫とジッパー騎士団長はワープエレベーターへ行った。
俺とジャックは駐車場へ行き、手頃な魔法車を選ぶ。やっぱ“スカイレイン”だな。
「スカイレインで行こう」
「ソウが一番だと思う魔法車でいいよ」
「さっき、ゼニア姫が言ってたポジションって何?」
「ジンボ王子に位置特定魔法をかけて、私が引き継いだんだよ」
「今、どの辺りだ?」
「ちょっと待ってくれ」
ジャックは片手でこめかみを押さえて目を閉じる。
「…………時間掛かるな」
「見えた! イースト方面だ。しかし、その先には海しかない」
「急ごう。船で運ぶのかもしれない」
俺とジャックはフォーミュラレッドのスカイレインに乗る。
俺はキーを挿してエンジンをかけ、ギアを1速に入れてクラッチを繋げる。
スカイレインのリアタイヤを滑らしながら加速させ、駐車場から出る。
クラクションを鳴らして邪魔者を退かして走っていく。
「人を跳ねないでくれよ!」
「分かってる! イースト方面ってことは、昨日行った郊外の方か!?」
「そうだ! 安全運転で……危ない!」
左側から道路に少女が1人飛び出してきた。
ガツン!




