021(魔導師を捕えた)
俺はスカイレインを力任せに加速させて、キッカー280の近くに停める。魔王、テオブロを跳ねた辺りだ。しかし、魔導師セシルの姿は見当たらない。
『居ないね。ジャック、車の中を見てきて』
『まだ脚に力が入らない』
『情けないわね、私が行ってくる』
『それなら、俺が行った方が早い。後部座席から出る時はどの道、前側に座ってる奴が降りなきゃいけないし』
俺はスカイレインの運転席から降りて、キッカー280の車内を覗く。誰も居ない。ゼニア姫も降りてきた。
『セシルおじ様〜! どちらにいらっしゃるのですか〜!』
『……お〜い! こっちじゃよ〜!』
山道の上の方から声が聴こえた。ついに見付けたか。世話焼かせやがって。
するとドットが粗い半透明の魔王、テオブロが現れる。俺は爆裂魔法を構えようとした時、後ろから、これまた半透明のスカイレインが高速で滑ってきて、魔王、テオブロを跳ねる。
これがリプレイ魔法ってヤツか。
『ゼニア姫かの?』
老人が降りてきた。ジャックの魔法で見せてもらった通り、白い髭にごま塩頭。間違いない、魔導師セシルだ。
『セシルおじ様!』
『ゼニア姫よ、久しぶりじゃの〜。戦闘用魔法車などに乗って、どうされたのじゃ?』
『リプレイ魔法で俺の身の潔白を証明してほしい』
『ほう、お主どこかで見た顔じゃな』
『俺は魔王、テオブロにトドメを刺した英雄だ』
『おお! そなたが噂のソウとやらか。リプレイ魔法でじっくり観させてもらったわい。リアタイヤを滑らして、テオブロに避けさせず、体当たりするテクニックは、とても下級志願兵とは思えぬ』
『今では近衛兵だよ。それより宮殿まで来てくれ』
『おじ様、お願い』
『よかろう。急ぎのようじゃな』
魔導師セシルはキッカー280に乗る。
『じいさん、大丈夫か?』
『ワシの魔力を見くびっては困る、ワッハッハ』
『じゃあ、スカイレインの後ろに着いてきてくれ』
俺はゼニア姫をスカイレインの後部座席に乗せて、運転席に座る。ジャックはまだヘロヘロだ。
俺はスカイレインをスピンターンさせる。
魔導師セシルもキッカー280を切り返して方向を変えた。
スカイレインの後ろに着けたキッカー280が、チカッチカッと2度ヘッドライトをパッシングしたので出発する。
俺は時速30キロメートル程で走り、ちぎらないようにする。
魔導師セシルはちゃんと着いてきた。
しかし、またマルボロ族の男達が立ち塞がる。




