020(成敗!)
車泥棒!? ワラワラと武装したマルボロ族の男達4人がスカイレインを取り囲む。
『おい! お前ら、ラークバロン公国、ゼニア姫の御前だぞ!?』
『そんなの知るかよ。抵抗するなら、ここで死んでもらおうか』
俺にいきなり、テレパシーが聴こえた。
「ソウ、魔法ロックするのよ。そのタイミングで全速力で出しなさい」
『分かった。車は置いていくよ』
『バカ! ソウ、何を考えてる!?』
『まあまあ、落ち着けよ。あんちゃん、1つ教えてくれ』
『何でしょう?』
『ポンコツのキッカー280が通らなかった?』
『通りましたよ。確かにポンコツでしたからカネにはならないのでスルーしました。さあ、降りて下さい』
俺は魔法車にバリアを張ると同時に、クラッチを繋ぎ、走り出す。
『待て! この野郎!』
俺は車泥棒の1人をボンネットに乗せたまま、時速80キロメートルで飛ばす。
『おとなしく落ちないと死ぬぞ〜、アハハ』
『すみません! すみません! スピードを落として下さい!』
『嫌だね、後悔しろ』
男は必死にしがみつく。この先は5連コーナーだ、雪ドリを魅せ付けてやるか。
俺は右コーナーの50メートル手前でサイドブレーキをチョンチョンと引きながら左にステアリングを切り、アクセルを踏む。次に右にステアリングを切り、一瞬アクセルを離して、車体を振らし、カウンターを当てながら後輪を滑らして、コーナーに突入する。
『怖いよー! スピードを落として下さいよー!』
『車泥棒をしようとして罰だ、アハハ』
『ごめんなさい! ごめんなさい!』
『ソウ、その辺にしてあげたら?』
右コーナーを滑り切った先のストレートでクラッチと急ブレーキを踏む。
30メートルくらいタイヤロックして停まる。ABSはないのか。ブレーキペダルに独特のバイ〜ン、バイ〜ンとした振動が伝わってこない。
男は前に転げ落ちて雪深い山林に走って逃げていった。
『成敗! アハハ』
『ソウ、やり過ぎよ』
『ゼニア姫、車泥棒は大罪だ』
『異国ではいかほどの刑になるの?』
『死刑だな』
『野蛮な国ね』
『冗談だよ。それより前を見て、緑色のキッカーが停まってる。魔導師セシルをついに捕まえられるぞ。ジャック、行ってきてくれ』
『…………』
『ジャック? どうした?』
『…………怖かった……脚に力が入らない』




