019(強盗)
『ちょっと急用でね』
『魔導師セシルって人を探してる』
『スカイレインの点検はもう終わってますので。あとは魔王、テオブロがかけた呪いを除去するだけです』
『呪われた魔法車を運転するデメリットは?』
『呪いの種類によります。ただの付着なら燃費が悪くなる程度ですが』
『クルーのあんちゃん、急ぎだから、呪いが付いててもいいよ』
『近衛兵の身なりをしてますが、貴方は?』
『テオブロにトドメを刺した勇者だ』
『おお! 貴方が噂のソウ様ですか。セシル様はキッカー280で行かれました。スカイレインとソウ様の魔力なら追い付けますよ』
俺はスカイレインの運転席に乗り、エンジンをかける。
『2人とも、遅いわよ』
ゼニア姫がドック内に入ってきた。
『ゼニア姫、いつでも行けます。後部座席へ』
ゼニア姫は後部座席に、ジャックは助手席に乗り、俺はスカイレインを発進させる。
『ソウ、さっきみたいに街中で飛ばすなよ?』
『安心しろ、安全に飛ばすから』
『どっちだよ!?』
俺は街中で魔法車を速さ50キロメートルくらいで爆走させる。
魔導師セシルの行方は魔王、テオブロの最後を遂げた所に向かったと聞いた。道は大体分かる。
『山道に行くから冬用タイヤに換えないとな』
『ソウはそんな事も知らずに魔法車を運転してたの?』
『ゼニア姫、仕方ないですよ。ソウは頭を打ってるんですから』
『どういう意味?』
『スカイレインのタイヤは魔法タイヤよ。魔力で仕様を変えられる。ソウは自然にやってたのね』
『そうなんだ、タイヤ交換しなくていいね』
俺達は城下町を通り抜け、山道に入ると雪が積もっていた。魔法車で行けないことはない。
スカイレインより、車幅が狭い車輪のわだちができていた。キッカー280、魔導師セシルのものだな?
しばらく走ってると男が道路の真ん中に突っ立っていた。
俺は減速して、パッパッとクラクションを鳴らす。
『あれが魔導師セシル?』
『違うわ。身なりからしてマルボロ族ね』
男は手を振りながら俺達に近付いてきた。俺はウインドウを開け、話し掛ける。
『あんちゃん、何か困った事でもあるか?』
『この魔法車をください。おとなしくしていれば命まではとりませんから』




