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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第12巻 陰陽の狭間を駆け抜けて

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連戦Ⅸ

 隆三とアリスの二人と別れた道まで警戒しながら戻る勇輝たちであったが、丁字路に近づくと人影があることに気付く。だが、それが隆三であることは、すぐにわかった。


「よお、遅かったな」

「隆三さんがここにいるということは……そっちの道は……もう?」

「あぁ、既に踏破した。行き止まり含めて全部探索済みだぞ。捕らえられていた村人も、アリスが入り口近くまで案内している。俺はお前らが戻ってきたときの連絡係って所だ」


 やってられないとばかりに肩を竦めるが、口角が上がって少し笑っているのを勇輝は見逃さなかった。


「あの子娘には腹が立つが、腕っぷしが強いのは否定できない。おかげで走り抜けながら攻略することができた。もしかすると、そこら辺のダンジョンなら、俺と小娘だけで最下層まで行ってボスを倒すのに一日かからんかもしれんな」

『……あの強さなら確かに有り得そうかも』


 チビ桜も二人が無双する光景が思い浮かぶのか、苦笑しながら頷いた。超広範囲・射程距離の隆三に、高機動・高火力のアリス。この二人を前にして生き残れるとなると、最低でもアリスの能力を上回る機動力か防御力がないと難しいだろう。

 勇輝は昨夜の模擬戦でかなり手を抜かれていたことを再確認して気が重くなった。圧倒的な格上相手の手加減に気付かず、勝って情報を少しでも引き出せたと喜んでいた自分が恥ずかしい。


「しかし、そっちはよく無事だったな。見たところ全員無傷じゃないか」

「えぇ、何せ小鬼程度なら何とか倒せますから」

「……ん!?」

「……え?」


 正司が笑顔で返事をしたが、それに対する隆三の反応はあまり芳しくなかった。思わず不安になって聞き返してしまう程に。


「お前たち、大鬼には出会っていないのか?」

「はい。奥に行く前に見つけた倉庫に、この人たちを見つけたので帰ってきました。人数も隆三さんたちの方に連れて行かれた人を除けば、全員だと言っていましたから」


 勇輝は振り返ると、先程の女性が何度も首を縦に振った。


「つまり、まだ大鬼は洞窟の中にいて倒されていない……ということか」


 隆三たちも勇輝たちも大鬼とは遭遇していない。そして、隆三たちが向かった側は、全ての道が調査されている。もしかしたら、勇輝たちが襲われたように見えない隙間があるかもしれないが、少なくとも、大鬼が通れるようなものなら、隆三たちも気付いていただろう。


「俺たちが行った方はまだ道が続いていましたからね。もしかすると、まだ奥で宴会をしているのかも」


 勇輝はチラリと時計を盗み見た。洞窟内に突入してから一時間が経過していた。ここから更に二時間の山道を、しかも真っ暗な中で移動するのは危険だ。かといって、ここにずっと留まれば奥にいる鬼たちが攻めて来る可能性も否定できない。

 考えられる選択肢としては、山道を強行軍で抜ける・奥に行って鬼たちを殲滅・ガンドで洞窟を塞いで時間稼ぎなどいくつか方法が考えられる。


「……まずは入口まで移動しよう。ここに留まるのは危険すぎる。この後のことについては戻りながら話す」

「わかりました。みなさん、行きましょう」


 大鬼という言葉に動揺を隠しきれない村人たちであったが、洞窟の入り口に移動するという言葉は、恐怖の対象から逃げることを意味する。まだ捕らえられて数時間程度のため、まだ足にも力が入る。移動の速さは遅くはない。もちろん、鬼たちが本気で追いかけてきていたら話は別だが。


「俺の魔弓を使えば、矢を射ずとも音だけで鬼たちの動きを止めたり、仕留めることができる。野生動物なら言わずもがなだ。今日はたっぷり魔力回復用のポーションを持って来たからな。下山するまでは守り切ってやる。ただし、大鬼だけは話が――――」

『待って……勇輝さんたち、まだ洞窟を出てないよね? アリスさんたちがこっちに向かってるなんてことはないよね?』


 ポケットから急に顔を飛び出させてチビ桜が声を挙げる。何事かと一同が驚いていると、チビ桜の口からとんでもない一言が放たれた。


『山の方にたくさんの灯りが……こっちに向かって来てるみたい!』

「……まさか!?」


 桜の本体が見ていた光景。それは、この洞窟で宴を開いているはずの鬼たちの進軍であった。

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