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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第12巻 陰陽の狭間を駆け抜けて

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連戦Ⅷ

「ひっ!?」


 敵地の中で煙の中から小鬼より高い影が見えたら、一瞬とはいえ大鬼と勘違いするのは無理もないだろう。助けに来たのに悲鳴を上げられてしまい、少しばかり心に傷を負った勇輝である。


「安心してください。あなたたちを助けに来ました。ここにいる方で全員ですか?」

「いえ、半分はこことは別の所に連れて行かれました。ここに来るまでに二手に分かれる道のもう一方の方に」


 女性の言う通り檻の中には、女子供は全員数えても八人しかいない。村を出てくる前に教えてもらった人数は、女だけでも二十人程度が攫われているということだった。つまり、隆三たちが向かった方にもう半分がいるということになる。


「正司さん」

「おう、話は聞かせてもらった。一応、確認だが……この奥に連れて行かれた奴はいないんだな?」

「は、はい。ここに来るまでにずっと気絶したふりをしながら、来た道を覚えようとしていたので間違っていないと思います。ただ、私たちよりも前に攫われている人がいたらわかりませんが」


 小鬼から拝借してきたようで、五、六個ある鍵の束の中から檻の鍵に穴に合う物を正司が探しながら頷く。四つ目の鍵で檻の扉が開き、ここで初めて中の人たちの顔に笑顔が戻る。


「む、一足遅かったか」


 後ろから声が聞こえて来たので振り返ると、血に染まった刀を持ったまま武士の二人が駆け寄ってくるところだった。服が血まみれだったのでぎょっとする勇輝だったが、よく見ると、怪我をしている様子は二人には見られない。

 想像するに、返り血をもろに正面から浴びてしまったのだろう。村人を見つけてほっとしている二人だが、その顔からはまだ戦闘の余韻が残っており、若干の違和感を感じる。


「残り半分は隆三さんたちの方にいるらしい。一度戻って、援軍に行くか。それとも、この部屋の先の道を進んで他の人質がいないか確かめるか。いずれにせよ、この人たちをここに放っては置けない」

「それならば、我ら二人で入口まで連れて行こう。先程の洞窟の上からの襲撃口は完全に潰れていた。今なら襲われずに戻ることもできよう」

「……となると先に進むか。一度戻るかだが――――」


 正司は腕を組んで考える。目の前の女性が言っていることを信じるならば、これ以上先に進むのは無駄ではないが、かなり体力を消耗することになるだろう。戻るのにも時間がかかる。現状を考えれば、無事な村人を確保できただけでも僥倖だ。


「……このまま生き残りを放置していたら、また数年後には同じことが起こりかねない。こちらは少数だけど、叩くなら今だ」


 そんな正司の横で勇輝がぼそりと呟いた。

 当然、それは正司も理解していたが、相手には大鬼がいる。攻め込むならば、せめてもっと大勢用意して事に当たるべきだと考えていた。隆三とアリスのコンビなら倒してしまうことも可能だ、と言われてしまえばそれまでだが、少なくとも大鬼は簡単に討伐できるような相手ではない。

 それを伝えようと正司が勇輝に視線を向けた時、一瞬、目の前にいたのが誰かわからず、目を丸くする。


「みんなを……守るための力……。今使わずに――――」


 最初は檻の中を見ていたのかと思ったが、どうにも様子がおかしい。瞳は虚空を見つめ、焦点が合っていない。まるでたったまま意識がどこかに飛んでしまっているように見える。

 正司が恐る恐る勇輝の肩に手を置いて揺するが反応は薄い。その異常に胸元のチビ桜も気付いたのか、周りの村人を驚かせないように小さな声で呼びかける。


『勇輝さん。……勇輝さん?』

「――――え? 何か言ったか?」


 授業中に居眠りをしていた生徒のように間をおいて返事が返ってくる。目をぱちくりとさせてなぜ自分が呼ばれたかわかっていないようだった。


「おい……敵地のど真ん中で呆けるのはよしてくれ。心臓に悪いぞ。こんなんじゃ、奥に行くのは危険だ。さっさと元来た道を戻ろう」

「は、はい……」


 正司が首を振って肩を竦める。勇輝はまだ何があったか理解できないまま、正司の言う通り、その後ろをついて行った。

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