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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第12巻 陰陽の狭間を駆け抜けて

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連戦Ⅳ

 刀という武器の特性上、生物であれば首や脇の下などの大きな動脈であったり、内臓の大半がある胴を斬られれば絶命は避けられない。故に、刀を持つ者は最初の一太刀に細心の注意を払う。一撃必殺を常に意識し、逆に相手の一撃を受けぬよう警戒する。

 しかし、相手が魔物となると話は別だ。特に強い魔物や巨大な魔物になると、一撃で仕留めるのは至難の業だ。もし、再生能力などをもっていたら目も当てられない。そういう手合いには嫌でも攻撃を何度も叩き込まなければいけなくなる。

 その点において勇輝が学んでいる威待流は、この世界を生きる上で、かなり有利なものであった。それは大きく分けて二つの特徴からできている。元々の用途である賊退治のための甲冑などを着こまない素肌剣術。今のような、村人を攫われたり作物を荒らされたりした時に賊を追って奇襲・殲滅するために一撃で殺すことに特化した戦い方だ。

 そして、もう一つは山で出会った妖たちを退治していく間に生み出された対妖用剣術。中には素早かったり斬っても死ににくかったりする妖怪もいた。そういう点においては、大鬼が斬っても死ににくい部類に入るだろう。そのような相手には何度も刀を振ることが要求されるが、当然長引けば長引くほど不利になることが多い。そこで至った結論が、可能な限り連続で、素早く刀を叩き込む連撃特化の戦い方であった。

 片腕を落としても止まらぬのならば、四肢を斬り落とせば動けない。薄皮一枚しか傷つかないのならば、全身を――――或いは同じ場所を斬り続ければ、いつかは斬れる。

 あまりにも安直な結論ではあるが理には叶っていた。尤も首を斬り落とされても動く妖も存在してはいたのだが、それはまた別のお話。

 では、ここで今の状況を振り返る。今回の小鬼は質の良い刀に加えて、勇輝が魔力による身体強化をしていることもあり、一撃で首や胴を切り離して絶命させることができる。そんな勇輝が前述した剣術を扱ったらどうなるか。


「ガッ――――!?」「ギィッ?」「ゴヴォッ……」「ギャッ」「ッ――――!?」「……ア゛ァッ」


 その様は鬼神が如く。視界に小鬼たちが駆け寄ってくるのを捉えても速度を落とさず、正司が止める間もなく押し寄せてくる鬼たちの中へと突っ込む。一呼吸する間に刃が数度煌めき、血飛沫が洞窟の壁と床を染め上げる。

 一撃必殺の連撃。まるでゲームの中で無双する主人公のような動きに、後ろの武士たちは目を大きく見開く。


「あの少年の身のこなし……只者ではないぞ」


 もちろん、ただ早く動ける。剣術を学んでいるというだけで、ここまでの動きができるわけではない。一番、ここで真価を発揮しているのはいう間でもなく勇輝のもつ魔眼だ。敵の周りに纏わりつく光の動きを見て先読みし、最適な回避行動と攻撃を判断することができているからこその動き。

 それでも判断と体の動きが少しでも遅れれば、小鬼たちが手に持った棍棒や短刀。或いは包丁が一斉に勇輝の体へと襲い掛かるだろう。


「――――はぁっ!」


 迫る武器と魔物たちに対する恐怖を吹き飛ばすかのように、裂帛の気合と鋭く振り抜く刀を以て迎撃する。

 中央、左、右の順に、首を右から左に薙いだら、返す刀で左袈裟。そして、そのままの位置から逆袈裟に斬り上げる。

 しかし、相手もそれでは止まらない。さらに屍を乗り越えて接近する小鬼たち。

 突き出した包丁を真横から真向斬りで両腕ごと斬り落とすと共に、上半身を一気に屈めて後ろから来ていた棍棒の一撃を回避する。

 背後を無視して、両腕が無くなった小鬼へと突進し、反対側にいた小鬼を洞窟の壁と挟んで昏倒させた。首筋に当てた刀をそのまま引けば、首筋から赤い筋が吹き上がる。


「――――ふっ!」


 その勢いで振り返ると正面からは棍棒が、進行するべき左側からは槍を持った小鬼が迫っていた。左斜め前に一歩踏み出し、刀を思いきり振り上げる。すると棍棒を振り下ろそうとしていた小鬼の右腕が自ら斬られるかのように吸い込まれていった。その勢いのまま前に倒れると、勇輝を狙っていた槍の穂先が小鬼の目の前に現れ、顔面を強打する。

 槍の柄が撓み、自由に動かなくなったのを好機と見て、勇輝の体がそのまま反時計回りに回転する。すると、振り上げた刀もそれにつられるようにして半円を描き、槍の柄へとぶつかった。

 槍は折れることはなかった。だが、小鬼はすぐにそれが槍を斬ろうとした一撃ではなく、次に繋げるために当てただけだということに気付いたようで、表情を強張らせる。

 刀の鎬で抑えながら槍の柄を滑らせ、小鬼へと刀が迫る。恐怖に槍を何とか引いて刀を跳ね除けようとするが、それすらも勇輝は読んでいた。槍が持ち上がった反動で浮いた刀は、流れるように小鬼の首へと吸い込まれ、首を一気に両断してしまった。

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