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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第12巻 陰陽の狭間を駆け抜けて

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奇襲Ⅲ

「良かった良かった。もしかしたら来てくれないかと思ってたんだ。でも、私の足跡は見やすかったでしょ?」

「あぁ、あれだけ細かく残して言ってくれたら嫌でも気付くよ。それよりも、鬼たちはどこに?」


 勇輝の問いに、アリスは暗くなった坂道の先を指差した。


「この先だよ。でも見張りがいるからどうしようかと思って」

「奴らの住処の形状や人数は?」

「洞窟。可能な限り近付いてみたけど、山の中へ真横に続いているか、少し地下に向かっているかってところ。恐らくだけど天然の洞窟というよりは、あの鬼たちが掘って作ったのかも。半分ダンジョン化してるんじゃない? 村を襲った奴だけじゃなくて、ここに残っていた鬼たちもいたみたいだから」


 アリスはここまで来てお手上げと言わんばかりに両手を挙げた。彼女の力も洞窟で使ってしまったら崩落を起こす危険がある。人質の危険性を度外視すれば可能かもしれないが、そこまでして中に飛び込む程、彼女も愚かではなかったようだ。


「村に来たのと合わせて百を超えてる。殴り込みをかけても良いけど、その場合は中の人たちの命は保証できないよ」

「――――となると方法は二つ。気付かれないように潜入・暗殺をしていくか。時間勝負で一気に攻撃を仕掛けるか。敵さんのいる洞窟の中がどうなってるかわからない以上、どちらも難易度が高いな」


 隆三は腕を組んで考え込む。だが、数秒もすると口を開いた。


「いや、この人数で来ている以上、いきなり騒ぎを起こして気付かれると時間がかかり過ぎる。それならば、見張りから確実に殺して、少しずつ中に進んで行くのが定石だろう。それで、もしバレてしまった時は――――」

「――――各自散開して人質救出を優先ってことね?」

「……業腹だが、そうするしかない。せめて単独行動は避けて動きたいところだが」


 隆三は後ろの武士三人衆を見て頭を悩ませる。二人ずつ組みたいところだが、一組だけ三人になる。そうなると、この武士たちを一纏めにしておくのが一番手っ取り早いが、それはそれでどこか不安が残る。

 

「俺と小娘、正司と勇輝、あなた方の中から二人、そして一人は退路の確保でここに残る、というのはどうだ?」

「この娘を外で待機させておくのは?」

「いや、大鬼が出た時の対処ができる奴がいた方がいい。その時は俺とこの子娘で食い止める」


 魔弓を持つ隆三と剛力のアリス。確かに大鬼を吹き飛ばしたアリスの援護に、遠距離攻撃ができる隆三がいれば、倒すことも可能かもしれない。オークよりも強いという大鬼。それを足止めさえできれば、少なくとも、一体一体は勇輝たちの戦闘力には敵わない。後は数の暴力に襲われぬように立ち回るだけだ。


「わかった。では、退路の確保は我々の中から一人選び、緊急時には二人一組で行動して救出を優先。見かけた敵は撫で斬りに処すということだな」

「そうだ。尤も、捕まえた女は逃げられないように奥に幽閉すると聞くからな。洞窟が一本道だったら散開せずに全員で突っ切るしかない。臨機応変に、ということだ」


 確認が終わる頃には空に星が瞬き始め、足元の地形も確認できないほどになっていた。勇輝がどうやって進むつもりなのか考えていると、正司が半球の籠を糸で吊るしていた。開いているその先からは僅かではあるが小さな光が零れ落ち、地面を照らしている。


「洞窟まで行けば奴らが用意した灯りや自生している光苔があるだろうから、まずは行けるところまで行こう。後は、その入り口の様子を見て突入だ。それじゃ、案内を頼む」

「まっかせてー。どんどん進んでくよ。多少の音はあいつら気にしないと思うから」

「後ろがいるんだ。ゆっくり行け!」


 隆三がいらいらしながらアリスを呼び止める。ここで声を出さなかったら、勇輝たちを置いて一人で洞窟まで走っていっただろう。

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