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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
白銀の聖剣と漆黒の聖鞘

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蛇化したダンジョンⅤ

 まさか、魚よりも先に蛇を捌く経験が先に来るとは――勇輝は駆けながら一瞬だけ、下らない考えを抱いた。


 それが原因だったかはわからないが、目の前の胴体が展開された結界を破壊して暴れ始め、進行方向を塞ぐ。



「危なっ!?」



 ――急制動をかけても間に合わない。


 そう判断した勇輝は心刀を振り抜き、ジャンプでその背に飛び乗った。足の裏から伝わってきた感触は、積み上げられた瓦礫の山の上に立っているようで、今にも崩れ落ちそうな不安定さがあった。


 即座に結界が展開されいない場所へと勇輝は跳び下りる。いとも容易く蛇ゴーレムの体を切り裂けるのは良いのだが、拘束用の結界ごと破壊してしまった部分が多い。可能な限り早く処理するのは大切だが、焦った結果、命を落とすのは本末転倒だ。


 空中で肩越しに自分が飛び乗った場所を振り返る。



「なっ!?」



 ほんの一瞬、目の錯覚でなければ、蛇ゴーレムの背から腕が生えていた――ように見えた。


 もう一度、ジャンプして確認しようとした矢先、手元から思念が飛んで来る。



『目の錯覚じゃねえ。こいつ、自分の体表に魔物を生やそうとしてやがるっ!』



 次の瞬間、蛇ゴーレムの胴体に無数のゴブリンの顔が浮かび上がる。同時に小さな手がいくつも伸び、勇輝を捉えようとして来た。


 心刀を振るい、何本かの腕を纏めて切り落としたが、次から次へと手は伸びて来る。ガンドで全て吹き飛ばそうと考えるが、心刀がそれを止める。



『落ち着け。聖剣の効果で、あれ以上は動けない。地道に削っていけばいい』


「こいつの能力は魔物を産み落とすことか?」


『いや、違うな。前にこのダンジョンに入った時にいた触手生やしたドラゴンを覚えてるか。あいつの能力の名残っぽいな。本来ならこいつらが次々と独立行動をし始めるんだろうが、聖剣のおかげで、その能力が削られたみたいだな』



 もしも削られてなければ、そのダンジョンの中で出現する可能性のあった魔物が次々に生み出されていた。


 心刀の話を聞いて、勇輝はゾッとした。それではまるで、ダンジョンの氾濫(オーバーフロー)と同じではないか、と。しかも、ダンジョンの場合は溢れ出る量に限りがある。だが、この蛇ゴーレムには、そんな限度は無いように思えた。


 もしかすると、枢機卿たちが魔法で蛇ゴーレムを焼いた際に、出現していた魔物が全て薙ぎ払われていた可能性がある。それを考えれば、運良く邪魔な雑魚を薙ぎ払えていたととることもできる。



「それで核は!?」


『まだだ。こいつ、意外と体が長いぞ』



 蛇ゴーレムの体が何もしていないのに大きく震えた。結界が新たに発動したのか、或いはマックスの聖剣が与えた影響か。どちらにしても、動きが鈍くなり始めていた。


 このままならイケる。そんな気持ちが芽生えるが、勇輝はすぐに気持ちを切り替えて、腕が出ていない胴の部分へと加速する。牢屋から解放を求める囚人の如く、勇輝が近付くと腕がへ始める。


 本来ならばそれに捕まる。よくて、速度が落ちて仕切り直すために距離を取るところだ。そこを勇輝は身体強化に回す魔力を増やして、強行突破する。



「お前らが生えて来る前に、俺が走り抜けるだけだ!」



 さらに魔眼で観測した光は、生えて来る腕の位置や、うねる胴体の動きを教えてくれる。ほんの一秒先の未来だが、一度経験したことは警戒していれば対応できる。


 心刀から核の位置が知らされるまで疾走を続けていると、唐突に心刀が叫びを上げた。



『通り過ぎた! いや、核が中を移動してやがる!』


「くそ、面倒なっ!」



 勇輝は跳びあがると同時に、マックスへと呼びかける。



「マックスさん! 核が移動してるんだ。前の方に!」


「わかった! そっちに向かう!」



 その返事を聞くと同時に、勇輝はガンドを真下へ連射する。


 一発で胴体の右半分を消し飛ばし、もう一発で左半分を吹き飛ばす。続く二発で、その傷口を拡大させた。



「こっから先は、追い詰めるだけだっ!」



 もはや核は袋の鼠。一気呵成に畳みかける以外の選択肢はない。勇輝は着地と同時に元来た道を戻り始めた。

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