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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
白銀の聖剣と漆黒の聖鞘

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魔王の力Ⅱ

 最初の三十分間は沈黙。風が通り過ぎていく音と、遥か遠くの街の声が聞こえて来ていた。


 一時間を過ぎると陽は完全に沈み、星々が姿を現した。ここで、ようやく星神の声が聞こえるかと待ち構えるのだが、枢機卿たちに変化はない。当然、勇輝の魔眼には一切怪しい光は映っておらず、連続で魔眼を開いているせいか、眼の奥が鈍痛を訴えていた。



「勇輝さん、無理しないで一度休んだ方が……」


「いや、大丈夫だ。桜だって頑張ってるんだ。俺だけ休むわけにはいかないよ」



 桜が袖を掴んで軽く引っ張る。その心配には感謝しかないが、魔眼で見破れるのは勇輝のみ。聖剣も「念の為、今代の枢機卿がどんなレベルか俺様が品定めしてやるよ」といって、見張ってくれて入るが、聖剣自身が今一つ信用できない。そんな中、勇輝は自分が何とか見破らねばならないと意気込んでいた。


 目頭を揉み解し、何度か素早く瞬きする。それでもすぐには治まらず、勇輝は空を見上げた。


 ゲームをした後によくやっていたことだ、遠くを見るという行為はかなり目をリラックスできる。遠くの山や森、或いは空に瞬く星は、見る目標としてちょうどいい。


 だから、昔の癖で星を見たのは、ただの気まぐれだった。いつだったか、言之葉家の屋敷の近くでも空を見上げた覚えがある。



(――うん?)



 どこか、違和感があった。見えているのに、見えてない。そこに存在する筈なのに、存在しない。蜃気楼を見ているような、不思議な気分とでも言えばいいのだろうか。しかし、勇輝には言語化するための言葉が見つからなかった。


 十秒ほど見つめていた時に、ふと思いついたのはダンジョンの天井。本来は空など存在しないはずなのに、プラネタリウムの如く空を映し出す魔法が展開されていた。



(いや、あれは魔眼で見た時に魔法陣が展開されていた。だから、俺が今見てるのは本物の―ーはずだ)



 変に考えすぎかと思いつつ、勇輝はマックスたちへと視線を向ける。


 マックスもウッドも、魔眼をもっていなければ、リシアほどの魔法の知識はないという。しかし、白兵戦を得意とするだけあって動体視力には自信があるということで、変な仕草をしようものなら、すぐに見破れると豪語していた。


 何かを見つけた場合は、ハンドサインで連絡を取り合うとのことだったが、未だに二人は枢機卿を凝視するだけで合図はない。



「――神聖な儀の途中ですが、よろしいですか?」


「リブラ枢機卿、いったいどうしたというのだ? 星神様の声を聞くことは、最重要事項のはず。それを超えることなど、そうありはしな――」


「レオ枢機卿。あなたも御存知のはずだ。この時間帯は、星神の声を聞くことはできない、と」



 リブラ枢機卿の宣言に勇輝は耳を疑った。星神の声を聞くことができないと知っていて、儀式を行っていたなど誰が想像つくだろうか。



「この時期は夜から朝に切り替わる時間帯。さらに今年は例年の一月よりもかなり早い段階で声を聞くことができる計算です。それでも、こうやって夕から夜にかけて儀式を行っている理由の一つにある理由があります。――そろそろ、正体を明かしてはいただけませんか? 聖女アストルムの姿を模した方よ。万が一、聖女が入れ替わっていた場合に、可能な限り早く気付けるように儀式を無理矢理二度行っているのです。聖女アストルムは、そのことを知らないでしょうが」



 失敗した、と即座に勇輝は悟った。


 これでは、どんなにアルトが神殿の外で頑張ろうと意味がない。何せ、星神の声が届かない以前の問題だからだ。



「待ってくれ。星神様とやらの声を聞くことが朝方に可能だとわかっているなら、何故、今日の朝や昨日の朝に聞くことができなかったんだ?」


「それは私たちにもわかりかねます。何者かに妨害されていたのか、星神様が必要ないと判断したのか。どちらにしても、今は聖女が偽者であるということが問題なのです」



 リブラ枢機卿は、ゆっくりとソフィアへ視線を移した。無言のままだが、誰もが何を訴えているかを明確に理解できていた。



 ――本物の聖女はどこにいるか、と。

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