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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
白銀の聖剣と漆黒の聖鞘

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魔王の力Ⅰ

 星神の声を聞くタイミングは大きく分けて二回。太陽が沈む夕方から夜にかけてと太陽が昇る朝方にかけてだ。


 星の声を聞くには真夜中の方が適していると思われがちだが、枢機卿曰く、「人の営みが溢れる昼間と神々が現れる夜。その境だからこそ声が聞ける」という。



「今夜は人が多いな……」



 枢機卿の中から声が上がった。それもそうだろう。星見の祭壇にて、星神の声を聞く儀式は枢機卿と聖女にのみ許された神聖な儀式。通常、黒騎士などの護衛が入ることはあっても、関係者以外が立ち入ることは許されない。


 しかし、枢機卿が呟いたように、この場にはマックスとウッド、勇輝と桜が端で成り行きを見守っていた。



「今代の勇者とその仲間たち。そして、今回の調査で活躍をしてくれた協力者です。もしかすると、星神様が何か声をかけてくださるかもしれません」


「なるほどな。ここ最近、星神様の声は聞いておらん。試練のダンジョンをクリアした正式な勇者がいれば、聞きやすくなるかもな」



 枢機卿たちの声を聞きながら、勇輝はマックスへと小さな声で尋ねる。



「まだ、ウッドさんたちを連れて行けるか判断が出ていないってことですよね」


「枢機卿たちとしては問題なしの方向で行きたいようだけど、やはり星神様の判断は絶対だからね。今日、何も言われないのであれば、リブラ枢機卿が最終決定の議決を取ると言っていたよ」



 星神の声が聞こえる方が裏切り者にとっては得なのか、それとも逆なのか。目的が読めない以上、勇輝にできることは魔眼で違和感を探すことだけだ。



『まったく、睡眠時間を削ってご苦労なことだ』


「おめーがさっさと思い出せば、話がもっと早く進んでたはずなんだ。いい加減、何か思いだせ!」



 他人事のように聖剣がぼやく。その態度が我慢ならなかったらしく、ウッドが割と強めに聖剣の柄を拳で殴った。鈍い音が響いたが、聖剣はほとんど堪えていないだろう。


 ウッドは拳を広げて、痛みを誤魔化すためにヒラヒラと振っている。



「――では、儀式を始めます。そちらの方々は、しばしお静かに願います」



 しばし、とは言うが、実際は二時間――長い時には三時間も儀式を継続することがあるというのだから驚きだ。


 リブラ枢機卿の呼びかけで、中心にいるアルトと枢機卿たちが目を閉じて、わずかに顔を上げる。


 勇輝は儀式が始まる前から魔眼を開いていたが、枢機卿たちの放つ光が変化する様子はなかった。



(星神の声を聞く行為自体は魔法じゃない。だから、魔法を使った人がいれば確実に判別できると思ってたんだけどな……)



 目論見が外れた。だが、ここで魔眼を解く気にはならなかった。星神からの声がすぐに聞こえるとは限らない。それを見越した上で、すぐに魔法を使っていないということも十分にあり得る。


 そして、何より「星神」という存在が声を届ける時に、その正体を見破ることができるチャンスかもしれなかった。


 裏切り者が枢機卿ではなく、元から星神の仕業だった。サケルラクリマの人にそのような考えを言えば、どんな目に遭うか分かった物ではない。しかし、勇輝は魔王の完全消滅のデメリットとしてサケルラクリマという国の未来を危惧した際に、それは星神にも言えるのではないかと思い至った。


 魔王の存在を告げることで自身を崇める信徒が増える。その当たり前の流れを壊すことを良しとするか。



(それなら、マックスさんをそもそも選ばないはず――それとも、あえて選んで魔王にファンメル王国を襲わせるとか?)



 無限に推測が広がり、妄想に片足を突っ込み始める。それを理解した上で、勇輝はあらゆる可能性を考えていた。どうせ、三時間も観察するのならば、できることはやっておいた方が得だ。


 そんなことを考えている勇輝だったが、先程から目の前に広がるアルトたちの儀式――その向こうの東の空が気になって仕方が無かった。カルディアの街を包む結界のさらに向こう側。魔眼の視界に、時折、白い光がカメラのフラッシュライトのように、一瞬現れては消えていくのが見えていた。

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