表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
白銀の聖剣と漆黒の聖鞘

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2501/2553

すり替えⅥ

 アルトは顎に手を当てて、何か思案した後、笑顔で頷く。



「衛兵さんたちの様子を見るに、幻覚魔法の効果は確かなようです。若干、私と髪や瞳の色彩が異なるのは、彼女の元の体が影響しているのか、イメージの問題でしょうね。ともかく、一瞬で見破られない程度の精密さはあるのですから、これからの旅で役立つことは確かですね」


「普段から近くにいる私の目は誤魔化せませんが、情報をろくに持たない暗殺者程度なら十分に騙せるでしょう。仮に魔法の存在がバレても、本物かどうかを疑って躊躇させる効果はあるでしょう」



 偽者を攻撃してしまった場合、殺害しても意味はなく、自分たちの存在を知らせることになってしまう。そのような愚行をプロの暗殺者がするはずがない。敵の能力が低ければ見抜けず、高ければ抑止力になる。聖女本人の命を守るという点においては、有用な魔法であることは確かだった。



「えっと、では、この女――いえ、この方たちは……?」


「はい。通していただいて構いません。何か重要な用事があって出かけるのでしょう。戻って来た際に騒ぎにならないよう、交代時に必ず情報共有をお願いします」



 アルトの指示に衛兵たちは姿勢を正し、敬礼をする。そして、すぐにリシアたちにも向き合って、謝罪の言葉を口にした。



「事情を知らずとはいえ、礼を失する数々の言動。誠に申し訳ありませんでした。どうぞ、お気をつけてお出かけください」


「いえ、私も魔法のことはすっかり忘れていましたし、レナが自分の姿がどうなっているか知っているのに何も言わなかったのが悪いんです」


「……不本意」



 リシアの指摘に不本意そうにするアルト顔の少女。その余りのギャップに、事情を知らない人が見れば何事かと卒倒したことだろう。


 改めて、リシアたちは礼を言って、神殿の敷地の外へと歩いて行く。



「お疲れ様です。この件は、あなた方の善意と己に課せられた任に忠実に従おうとした結果です。もしも、誰かから何か処分が下されるようなら、私が盾になります。枢機卿たちにも、そのことは伝えておきましょう。何より、星神様があなたたちの正しい行いを見ておいでです。何も恐れることはありません」



 アルトの声がリシアたちの背後から響く。坂を下りながら、彼女たちは一瞬だけ肩越しに振り返った後、ニヤリと笑みを浮かべた。



「リシアさん、上手くいきましたね」


「えぇ、まさかここまで上手くいくとは思っていませんでした。あー、さっきの衛兵さん、怖かったー!」



 小声で二人は言葉を交わす。


 アルト顔の少女は、レナが魔法で化けた姿ではなく、本物の聖女アルトだった。彼女が神殿を脱出した理由は、もちろん、「星神の託宣の妨害を受けないようにする為」だ。



「でも、これで何もなかったら大問題になりますよ? 流石の聖女様でも大変なことになるのでは?」


「そうなったら、その時です。『では、新しい聖女をお探しください』と言い返して終わりです。星神様が指定しない限り、聖女は選ばれませんから」



 聖女を選ぶには星神の声が聞こえる必要があるが、肝心の星神の声が聞こえない。もしも、聞こえるようになるのならば、それなりに重要な情報が与えられる可能性が高い。


 裏切り者が妨害しているのならば妨害を止めないと星神の声は聞こえないが、聞こえてしまえば自分に不利になる可能性がある。



「なるほど、妨害し続けてもしなくても相手が困るだけ、と」


「まぁ、私が枢機卿たちの判断で辞めさせられる可能性はありますが、それを良しとするような方々ではありません。一人、二人の裏切り者が出た程度では揺らぐことはないと信じたいものです」



 逆にそうなってしまった場合は、どうしようもない。そんな諦めが見え隠れする。


 既に下っている未知の先は、最低限の明かりで足元が暗い。行き交う人々も杖先に小さな光を灯して、家路を急いでいる。アルトはフードを元に戻して顔を隠すと、リシアと手を繋いだ。



「目的地は、どこですか?」


「私が初めて星神様の声を聞いた場所。誰にも教えていないので、追手がかかっても捜索場所の候補として挙がることはないはずです。方向は私が指示を出します。ただ、このままだと周りが見えないので……」


「大丈夫です。私がしっかりと手を引いて安全を確保しますから」


「では、行きましょう」



 アルトはリシアの手を軽く握り返した。空が紺色に染まり始める中、二人の姿は街の中に溶けるように消えて行った。

【読者の皆様へのお願い】

・この作品が少しでも面白いと思った。

・続きが気になる!

・気に入った

 以上のような感想をもっていただけたら、

 後書きの下側にある〔☆☆☆☆☆〕を押して、評価をしていただけると作者が喜びます。

 また、ブックマークの登録をしていただけると、次回からは既読部分に自動的に栞が挿入されて読み進めやすくなります。

 今後とも、本作品をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ