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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
白銀の聖剣と漆黒の聖鞘

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すり替えⅠ

 勇輝が訪れたのは、星見の祭壇での儀式を控えているリブラ枢機卿の部屋だった。



「おや、どうしましたか?」


「儀式前にすいません。少しお聞きしたいことがありまして」



 リブラ枢機卿の視線は勇輝の背後に向く。そこにはマックスとウッドが護衛のように立っていた。勇輝たちの素性を知らない者が見たら、脅迫しに押し掛けているように見えなくもない。



「実は勇輝に回収した本のことを聞いたんですよ。昔の勇者のことが書かれている本だと聞いて、興味がわきまして。これから勇者として活動しなければいけないので、先輩勇者のことを少しでも知って置ければと……」


「なるほど、それは素晴らしい。あなたが勇者になるかどうかという点に関しては、私も先日まで不安で仕方がなかったのですが、今の言葉を聞けて安心しています」



 リブラ枢機卿は満面の笑みを浮かべて、大きく頷く。ファンメル王国の皇太子であることと魔王の完全消滅を目論んでいるというカミングアウトの時は、流石に動揺していた枢機卿たちだったが、時間も経っていることもあってか、その笑みに違和感はなかった。


 心の底から歓迎している。少なくとも、勇輝の目には映っていた。もしかすると、サケルラクリマとしても魔王の存在は危険と判断し、封印よりも消滅させる方向に舵を切ったのかもしれない。



「ただ残念ですが、その二冊の本は別の場所にあります。一冊は良いのですが、もう一冊は汚れが激しくて復元も難しい状況です。今はある神官たちがいる部署に渡して、写本を作って貰っているところです」


「じゃあ、読むのは難しそうだな。言っただろ? タイミングが遅かったってよ」



 ウッドがそれ見たことかと言わんばかりに大きくため息をつく。もはや、興味などないと明後日の方向を見て欠伸をしていた。


 勇輝とマックスは困った表情を浮かべて、互いの顔を見合わせる。



「……いえ、これも何かの巡り合わせかもしれません。ついて来てください」



 リブラ枢機卿は、唐突に自身で納得すると勇輝たちの前を通り、廊下を歩き始めた。


 背をまっすぐに伸ばし、きびきびと進む様は一種の威厳さを醸し出しており、彼が優れた枢機卿であることを感じさせる。通りかかった神官たちは、誰もが立ち止まって道を譲るので、後をついていく勇輝は、居心地が悪くて仕方がない。


 爵位こそ得ているが、自身が根っからの庶民気質であることは疑いようのない事実であった。


 数分ほど歩いて、何階か下の階に移動すると、とある部屋の前でリブラ枢機卿は足を止める。茶色の古い扉を押し、中へ入るように呼びかけた。



「ここで復元をしています。復元といっても、くっついたページを慎重にはがしたり、霞んだ文字を解読したりという地道な作業です。普段、そのような作業をすることは少なく、どちらかと言えば、写本による確実な保存と伝承が目的です」



 中では十名ほどの神官が黙々と本を写している。その集団の中でごく少数のグループがルーペを片手に、本と睨めっこをしており、黙っているのに唸り声が聞こえてきそうな表情だった。


 あまりにも真剣な雰囲気にのまれ、勇輝は下唇を軽く嚙んで声を出さないようにと自らを戒める。


 羽ペンがカリカリと紙面を擦る――耳搔きを思わせる――音だけが響く中、リブラ枢機卿はルーペを持ったグループの方へと近付いていく。流石に目の前まで枢機卿が歩いて来たとあっては、何もしないわけにはいかないと思ったのだろう。神官たちが次々と立ち上がる。


 しかし、リブラ枢機卿は片手でそれを制し、作業を続けるよう促した。すると神官たちも即座に席へと座り、自分たちの作業へ戻っていく。リブラ枢機卿は、その中である神官の傍に歩み寄ると、作業中の本を背中越しに覗き込んだ。

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