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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
白銀の聖剣と漆黒の聖鞘

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消えた手がかりⅡ

 本を探すというのは思っている以上に難しい。本のおおまかな分類でどこにあるかはわかるが、タイトルだけから内容を察するのが困難なものもあれば、そもそも背表紙にタイトルが記載されていないものもある。


 書いてある本が必ずしも特殊なものであるとは限らないので、魔眼を開いても発する色で判別することは不可能だ。つまり地道に探していくしか方法はない。


 魔法学園の図書室と構造は違うが、蔵書数は負けずとも劣らず。天井にまで届かんとする本棚を移動式の梯子に昇っては降りを繰り返し、中身を確かめていく。



「まったく、せっかくのデートが台無しだ。おまけに、こんな量の本を俺たちだけで調べられるはずないのに、こうやって丁寧に探してるのは、傍から見ると馬鹿げてるんだろうな」


『はっ、そう言ってる割には楽しそうだな』


「自分たちで言い出したことだしな。それに不謹慎だけど、ちょっとワクワクしないか?」



 そもそも、知るという行為自体に勇輝は喜びや楽しみを感じる人種だ。恐らく、留学していた桜も同じタイプだろうと推測できる。


 世界を救うための一助になれば、と動いているが、一歩間違えると足を引っ張ることになりかねない。慎重に動くことが必要だ。



『残り一日でできることなんてあるのか?』


「やらないよりはやっておいた方がいいだろ。ここに有用なものが無かったって判断できるのと、どんなものがあるかわからないとでは大きな違いだ」



 目の前に広げられたページを流し見ながら勇輝は、心刀へ返事をする。


 己を勇輝と同一の存在だと言ってのける心刀に対して、疑問の提示と返答を繰り返している自身を勇輝は「これは自問自答なのか」と下らないことを考えてしまう。



『なぁ、さっきから魔物に関するところを見てるんだが、俺としては別の本棚のところも見た方が面白いと思うんだ』


「どこだ? 魔王って言ったら、やっぱり魔物関連じゃないのか?」



 疑問を呈すると、心刀は当たり前のような口調で告げる。



『ここ、魔王に一度襲われたっていう歴史が残ってるんだろ? だったら、国の歴史を綴ってる本が必ずあるはずだ。この大陸で一番歴史が長いんだろ? 何かを乗り越えたって事実は、残しておくだけで価値がある。何せ統治していた者の判断が正しかったって使えるからな。それが役職として受け継がれるなら尚更だ』


「俺が言うのも何だけど、まだ枢機卿たちが裏切ってるとは確定していないからな」



 やるとしたら、その辺りだろうという推測はあっても、証拠もなければ動機もわかっていない。こんな状態で名探偵のように犯人を指名しようものなら、批難の嵐にさらされるだろう。


 だからこそ、地道に証拠を探すしかない。今日はわからなくても、未来で何かに活かせる可能性がある。結果的に、それが神殿に裏切り者がいないという証明になれば、喜ばしい限りだ。


 心刀の助言通り、サケルラクリマの歴史が記された書物の一画に向かう。一冊に十年分の内容が記されたものもあれば、一年一冊で書き記したものもある。


 その中で勇輝は、十年分が詰まった一冊を百年前の時点から遡っていくことに決めた。


 バジリスクは前回の魔王討伐時に出現した。そして、魔王は約百年間は現れていない。


 二つの情報から直近の魔王の活動時期を絞り、その後に一年ずつ記した歴史書を辿るつもりだ。



「……百年前の時点でも、あの砂丘を何とかしようとしてたっぽいな。尤も、毒が危険だと判断して一般人は立ち入り禁止区域になっているみたいだけど」



 別の土地の土をばら撒いたり、土属性魔法や光属性魔法で土壌の改善を試みる作業が記されている。ただ、そこにバジリスクや毒と言った表記は一切存在しない。


 神官たちは魔王が従えていた魔物の存在を学ぶことがあるとアルトが言っていたが、逆に言えばそうでないものには教えないようにしていると受け取ることもできる。


 果たして、深読みに過ぎないのか、真実への手掛かりなのか。緊張しながらも勇輝はページをめくった。

【読者の皆様へのお願い】

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