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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
白銀の聖剣と漆黒の聖鞘

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勇者の記録Ⅲ

 国や街など場所が違えば売る物も変わる。


 星神を祀る聖教国の首都であるカルディアでは、特にその傾向が顕著だった。夜には神殿で星神の声を聞く為、街の灯りは最小限にされる。


 しかし、灯り無くして生活するのは不可能。それならば、夜の闇でも見通すことができるような魔法を開発すればいい。



「……凄いな。確か、そういう魔眼もあるんだよな?」


「暗視の魔眼のこと? うん、そういうのもあるって前に一緒に本で見た気がする」



 確か、それはローレンス領の侵略事件の後のことだった。その際には、魔眼の大家であるサリバン家の御先祖様のある意味で下らないエピソードも読んだ記憶がある。


「でも、魔法の方がデメリットは大きいはず。ここにも書かれているように、詠唱は必要だし、魔力の消費も大きい。おまけに魔力の制御難易度は最高難易度。元々、魔眼を持っている人に比べたら天と地ほどの差があるのは間違いないよ。それよりも、こっちの魔法の方がまだ使いやすくて、応用も効くっぽいかな――二人じゃないと発動できないけどね」


 光属性魔法と闇属性魔法の本が基本の四属性と比べ、ファンメル王国で見た時と明らかに比率が異なっている。それだけ、この国の人々が星神と共にあろうとした軌跡が垣間見える。


 桜が示した魔法もその一つ。片方は杖先に光を灯す一般的な基礎魔法。もう一方は、周囲に闇の結界を張り、光を遮断する魔法。


 一人が十数メートルの結界を張れば、その中でいくら光を放とうと外には漏れ出ない。家の中で発動すれば、光を漏らすことなく普段通りの活動ができる。



「……光を灯す魔法を使う魔力がどれくらいもつかを気にするべきか。それとも、薪を燃やす時の費用を気にするべきかで、それぞれの家の生活スタイルも変わりそうだな」



 もしも前者ならば、魔力の制御も相当なものに練り上げられていることだろう。恐らくは保有できる魔力量も多いに違いない。


 勇輝と桜はそれぞれ手に持っていた本を棚に戻しつつ、他の本のタイトルを見ながら通路を進む。興味がある物を見つけては声を掛け、時には二人で一つの本を読み、またある時はそれぞれが読んで中身を紹介し合った。



「……そういえば、光属性魔法の中に催眠系や幻覚系の魔法があるんだね。幻覚は光で幻を見せるからわかるけど、どうして光で催眠ができるのかな?」


「魔眼と同じ理屈なんじゃないか? ほら、目を合わせたら発動するってことは、視覚から何か魔法を叩き込まれてるんだろうし……。それが光なのか魔力なのか。或いは別の何かってことだと思う」


「ふうん、そんなものかな? まぁ、どっちにしても光属性魔法は素人だから、私には難しか……」



 何かやりたいことでもあったのか桜が肩を落とす。それが何かを考える勇輝だったが、少なくとも、すぐに浮かんで来るようなものは思い当たらなかった。


 諦めて、桜に問うと、苦笑いをしながら彼女は本棚に手を伸ばす。



「あはは……。ほら、前に勇輝さんが記憶喪失って言ってた時期があったじゃない? その時に、勇輝さんの記憶を取り戻す方法はないかって調べたことがあったんだけどね。催眠系や幻覚系の魔法の応用に記憶に干渉する魔法があるの。それを使えれば、聖剣さんの記憶を思い出させることもできるかな、って」



 聖剣さんには目がないから無理そうだけど、と桜は小さくため息を付く。


 ただ、記憶を外部から魔法で呼び覚ますという方法は、発想として悪くないと勇輝は感じた。



『やめとけ、やめとけ。俺が言うのも何だが、記憶に関わる魔法は碌なもんじゃない。俺がこいつの記憶に干渉していたのも呪いの一種だったことを忘れたのか?』



 珍しく心刀が桜へと忠告する。


 元々、呪いが籠った鉄片だった存在から生まれたのが心刀であることを考えると、ある意味、呪い本人からの言葉だ。普通の人が言うより何倍も信用できる重みがある。

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