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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
白銀の聖剣と漆黒の聖鞘

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うっかりな聖剣エトナさんⅣ

 着地と同時に勇輝は自分の作戦が失敗した理解した。


 確かにこれで人的被害は最小限に抑えられるだろう。しかし、それ以外はどうか。勇輝を狙った一撃だけで、周囲の樹木の枝が弾け飛んでいる。


 もしも、マーキングした木が手当たり次第に攻撃をし始めていれば、森の木々にいったいどれだけの被害が及ぶかわからない。



「ちっ、早く倒し切らないとっ!」



 前方には後退しながら魔法でトレントに攻撃を続ける桜とリシア、何人かの黒騎士の姿が見えた。


 二人共有効打を探すためか、別々の初級汎用魔法を放っている。



「火属性以外だと風属性で枝を切り落としちゃえば無効化できますね。土属性の方は?」


「初級だと幹にはめり込むだけ、枝は折れます。当てやすい風属性の方で対処するか、岩の槍で幹を砕くかのどちらかだと思います」



 初級魔法でも倒せる相手ではあるようだが、やはり、火属性が使えない中で戦うのは難しい。



「すいません。他の人たちにトレントの居場所はわかるようにしましたけど、あんな風に暴れることを失念していました」


「いえ、ここは仕方がありません。それよりも、どうやってアレを素早く倒すかが大切かと」



 ソフィアは剣を抜き放ったまま、切先を下げていた。


 恐らく、近寄ってしまえば近接攻撃でダメージを与えられる。だが、無数の枝の猛攻を掻い潜れるのは一部の者だけだろう。



「よし、こういうのはどうだ? 俺たちはまっすぐ突っ込む。上下左右から枝が襲い掛かって来るだろうから、それをあらかじめ予想して風の刃をタイミングよく放つって言うのは」


「では、先陣は私が。他の騎士たちがマネできるかどうかを判断できるし、万が一、攻撃が当たっても、私なら大丈夫ですので」



 ソフィアが待っていたと言わんばかりに進み出る。自らの危険を顧みず、部下の安全確保に動く姿は、まさに上司の鑑だろう。


 尤も、ソフィアとアルトが同じ年で、他の黒騎士たちの多くがそれと同じか、それ以上だということを勇輝が知るのは、もう少し後のこと。



「ここは黒騎士隊だけでやってみます。二人は一度、魔法を止めてください」



 風の刃を放つのは黒騎士の五名。突撃するのは隊長だが、その手に握られているのはグラムではなく、他の隊員と同じ支給された剣のみ。


 身体強化の練度こそ違うが、そこはソフィアが判断すると言っているので、問題ないだろう。



「三つ数えたら行くぞ。三、二、一――!」



 宣言通りに飛び出すソフィア。同時に放たれる風の刃。


 当然、ソフィアを危険と見なして多数の枝が降りぬかれるが、先程、空中で勇輝が枝を切断したように、自ら切られにいく形になっている。


 その間にソフィアが駆け抜け、白銀の一閃をトレントへと叩き込んだ。



「……ほう、ただのトレントとは異なるか」



 斧のように叩きつけた一撃は、樹皮へと衝突した瞬間に跳ね返された。いや、正確に言えば、当たった直後に樹皮ごと吹き飛んだという方が正しいか。



「もしかして、自分から……?」



 レナが訝しみながら矢を放つ。ほぼ一直線に飛んだ矢が幹の上部に当たると、同じように小爆発を起こして、矢が弾け飛んだ。



「リアクティブアーマーかよ……」



 自ら装甲を爆破させ、ミサイルなどの攻撃の力を減衰させる手法。近現代において使われている技術をまさか魔物が取得しているとは夢にも思うまい。


 だが、それで勇輝のガンドの効果が微妙だったことも、心刀が言っていたことも理解できた。


 一度、樹皮が吹き飛んでしまえば、二度は使えない。仮に、二度、三度と反応して攻撃を無効化したとしても、自らの体を吹き飛ばしている以上、限界が訪れるはずだ。


 ソフィアもそれを理解したのだろう。まったく同じ場所に向けて、剣を叩きつける。すると、吹き飛んだことでダメージを受けているのか、斬撃痕が深々と刻まれた。


 最早、ここまで来てしまえばトレントに抵抗する術などない。自らの懐に入られて枝は届きにくく、根を槍のようにして突き出すも切り落とされる。


 一分もしない内に、トレントは切り倒されてしまった。

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