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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
白銀の聖剣と漆黒の聖鞘

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うっかりな聖剣エトナさんⅢ

 地面が抉れ、複数本の線が刻まれる。


 しっかりと傘のように広げられていた固い木の枝が、鞭のように高速で振るわれた結果だ。気付かずに近寄っていれば、数メートルどころか、十メートル以上吹き飛ばされていただろう。



「これはなかなかの威力だ。迂闊に近寄れねぇぞ」


「そればかりじゃない。トレントの討伐に向かった他の騎士たちも心配。水属性魔法で判別しながら進んでいれば事故は避けられるけど、恐らくやってないはず」



 ゆっくりと根を動かして移動を始めるトレント。その速度は今はゆっくりだが、完全に根が抜け出た後ならば、どれほどの機動力になるかわからない。



「……ソフィアさん。今の内に確認したいことが。このトレントを倒すのを優先するか、他のトレントがどこにいるかをマーキングするのが先か。どっちだと思います?」


「後者だ。あの一撃は、流石に見過ごせない。どれがトレントかわかっていれば警戒して事に当たれる。しかし、どうやってそんなことを?」


「少しここから離れます。その間、桜をお願いします」



 足の裏に魔力を集めると同時に、ガンドの準備を整える。大量に魔力を消費するが、今はそれを気にしている様子はない。


 魔力による空中への足場の構築と放出による加速。勇輝は方向を何度か転換しながら枝の間を抜けて上空へと躍り出る。


 木の頂点を抜けても、さらに上へ。それこそ星見の祭壇と同じ高さまで上がると、魔眼で眼下を見下ろした。緑の光の中に立ち昇る赤紫の光。それらを見つけた瞬間、死を宣告するように勇輝の指が突き付けられる。


 一つの光につき、一発のガンド。青い魔弾が流星となって着弾する。


 恐らく、先程の個体同様、一撃で仕留め切れてはいないだろう。しかし、ダメージを受けたことで自分の身を守ろうと行動を始めるはず。そうなれば、自然と騎士たちもトレントに気付くはずだ。仮に気付かなかったとしても、大きく抉れた幹を見て警戒するに違いない。


 一度に六発。魔力の装填に十秒。それを七度繰り返して、ようやくマーキングが終わる。


 幸いにも、七カ所を除いて戦闘が起こっている場所は無かった。多数のトレントが出現して暴れているということから、初期に発見されていた個体であることを祈るばかりだ。



「……大分、魔力を使ったな」



 今まで一発のガンドに大量の魔力を乗せることがあったが、ひたすら撃ち続けるというのはローレンス領侵犯での防衛戦以来。当時は平気だったが、慣れないことをしたせいか、空中で立ち眩みが起きそうになる。


 深呼吸を繰り返しながら、下へと向かう勇輝。時折、轟音が聞こえてくることから、何かしらの魔法でトレントに攻撃を浴びせているようだ。



「よし、俺も合流を――!?」



 約一分強。勇輝がガンドでトレントたちに攻撃を加えるのにかかった時間だ。その間にトレントが移動していることを失念していた。


 足元から切り上げるように、赤紫の閃光が胴に向かって伸びて来るところを魔眼が捉える。



『――何してる、さっさと俺を抜け!』



 心刀の声に我に返った勇輝は、空中の足場を軽く蹴って軌跡を躱すと共に抜刀する。そのまま、軌跡の上に心刀の刃を垂直に立つよう持って行くと、軽い感触と共に枝が切れて彼方へ飛んでいく。


 即座に新しい足場を蹴って攻撃範囲から離脱した勇輝は、大きく息を吐いた。



「悪い、助かった。まさか、枝がしなるだけじゃなくて伸びるなんて……」


『礼は良い。さっさとあいつらのところに行け。お前のガンドなら、一発では貫通できなくても、二、三発であのトレントは耐えれずに倒れるだろうよ。岩の槍でも何発かぶち込めばイケる。――まぁ、燃やすのが一番早いけど、この森でやるのは無理だろうからな』



 切った相手について、いくらか情報を得ることができる心刀に感謝しながら降下する。久しぶりに魔力回復の為にポーションを取り出して飲むが、口の中に広がる青臭さに思わず顔を顰めた。

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