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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
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勇者マックスの誕生Ⅴ

「――なるほど。遂にバラしちまったのか」



 いつもの笑みは鳴りを潜め、真剣な表情のウッドが呟く。


 枢機卿たちへの報告を終えて、勇輝と桜はマックスに連れられて、彼らの部屋に来ていた。すぐにレナとリシアも隣の部屋から合流し、計六人と二振りが、この場に集う。



「えっと、ウッドさんたちも国の偉い人とか、騎士職だったりするんですか?」



 桜が問いかけると、ウッドがよくぞ聞いてくれましたと、もたれかかっていた壁から離れる。


 律義に勇輝と桜の前に仁王立ちすると、槍の石突を絨毯の上に当てて立て、胸を張った。



「ファンメル王国第一騎士団所属。皇太子の近衛騎士とは、俺のことだ」



 おぉ、と勇輝と桜は声を漏らし、拍手する。


 鼻の下を指で擦り、得意気な顔をするウッドだったが、すぐにレナがツッコミを入れた。



「その前は、ただの騎士ギルド所属の騎士見習いだった。近衛騎士の肩書も一時的なもの。ただの運」


「なっ!? 本当のことを言うなって。それでも、いろいろ頑張ってんだから」



 顔を真っ赤にして抗議するウッド。レナは耳を塞ぐジェスチャーで悪びれる様子はない。


 勇輝たちは見開いた目が一転して、点に変わってしまう。



「えっと、つまり、どういうことですか?」


「うーん。ギルドの依頼で一時的に騎士の地位にいるだけってことかな。まぁ、それを言ったら、私もなんだけどね……」



 リシアは恥ずかし気に自身の杖を弄って、ウッド同様に顔を赤くする。


 そう言うリシアは魔術師ギルドの臨時職員だったらしい。曰く、魔法学園の教員への誘いもあったのだが、ウッドと共にマックスの旅について行くことを選んだという。



「ウッドって、昔からおっちょこちょいなところがあるから、送り出すのが不安でね……」


「おい、誰がおっちょこちょいだって?」



 ウッドがわざとらしく肩を怒らせて近付いていくが、リシアは動じる気配がない。むしろ、笑みを浮かべて余裕すら感じさせる。



「料理の時には必ず調味料の量を間違えるし、行く先々で仲良くなる人も多い分、トラブルを起こすことも多いでしょう? 彼の目の前で麻痺毒で倒れたの、誰だったかな? 師であるお爺様が泣きますよ」


「うっ、それはそうだが……」



 勇輝がこの世界に降り立ち、初めて訪れた村でウッドは麻痺毒の矢が掠って、行動不能に陥った。


 暗闇の中から飛んで来る矢を打ち落とすだけでも神懸った技術の持ち主であることは明白なので、勇輝は馬鹿にする気にならない。



「ウッドさんの師匠ってことは、すごく強そうですよね」


「あん? 勇輝、爺さんならお前も会ったことがあるはずだ。ちゃーんと、俺たちが会話しているところも見てる」


「え? いつ!?」



 凄腕の槍使いを脳内で検索するが、なかなか出てこない。頭を抱えていると、マックスが笑い声をあげる。



「ははっ、そりゃわかるわけないだろ。傍から見てたら家族の会話には見えないからな」


「ウッドのお爺様。今は王都の衛兵として入都管理をしているんです。昔は『番犬』って二つ名で恐れられたんですよ?」



 番犬という言葉に、勇輝の中で一人の衛兵の顔が即座に浮かび上がる。


 槍で魔法を弾き、勇輝を始めとする五人の魔法使いと剣士の攻撃を、赤子の手をひねるかのように無力化してしまう実力者だ。おまけに、ただ槍を扱うだけでなく、蹴飛ばして正確に遠くの敵を貫くという芸当(アルテマ・アーツ)をやってのけるほど。


 その指示を受けたと聞けば、矢を叩き落す技量にも納得できるというものだ。


 勇輝が再び呆けていると、桜が両手を握りしめてレナに熱い視線を送る。



「じゃあ、レナさんは?」


「とあるエルフの族長の娘、といったところか。人間のように国などという大規模なものは、そう作らないからな。その辺りは気にしないで」



 言及されるのも面倒だ、と言わんばかりに顔の前でレナは手を振る。

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