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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第22巻 からくれなゐに染まる腕

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追跡Ⅲ

 ギルドで依頼報酬を受け取った七丸は嬉しそうに巾着袋を両手で掴む。


「今後は報酬の七割を預かっておいてほしい。まだ、子供だから大金を持たせるには少し心配で」

「わかりました。しかし、凄いですね。三人がかりとはいえ、こんな量の薬草を集めて来るなんて」


 登録時に受け付けてくれたギルドの職員――――公太――――が、目を丸くする。


「あぁ、自分、薬草を取るのが得意なんですよ。それにあの子も子供だからか、すぐにコツを掴んだみたいで」

「なるほど、羨ましい才能ですね。では、今日は依頼は以上にしておきますか?」

「そうですね……。いや、一応、昼ごはんを食べた後に相談して決めます。俺たちが面倒をいつまでも見られるわけじゃないので」


 勇輝が言うと、公太は小さく頷いた。何故か、彼は何かに怯えているようで、視線が定まっていない。

 勇輝は不思議に思いつつも、彼に七丸の登録時の紙に書かれていた内容について、もう一度聞いてみることにした。


「あ、そういえば、さっきの登録の時に書かれてた変な滲みとか、大丈夫でした?」

「……あぁ、あれですか? すいません。まだ明日の準備に忙しくて、わかる人の手がなかなか空いていないんです」


 そう言った公太の視線は、多少、冒険者が出入りするようになったとはいえ、職員が受付のカウンターに僅か数名しか座っていない惨状を無言で訴えていた。


「そうですか。では、もしわかったら、教えてください」

「しかし、何故、そんなにギルドの職員が少ないのだ。それこそ、依頼を出して冒険者に仕事を斡旋した方が効率がいいだろうに」


 僧正は腕を組んだまま公太の視線の先を追う。


「それは自分が聞きたいくらいです。あれじゃないですか? 冒険者にも色々いるから、何か変な工作されないように身内で――――って、すいません。今のは職員としてあるまじき発言でした。忘れてください」


 あくまでギルド職員として、冒険者の中に危険思想をもつ人物がいる可能性を示唆するのは不味いという判断だろう。

 勇輝も僧正もそれを察して、無言で頷く。彼はその反応にほっとしながら、こちらに向かってくる他の冒険者に視線を移した。


「あぁ、他の方が来てしまいますね。では、今後ともよろしくお願いします」

「この娘のことをよろしく頼むぞ」

「はい、お任せください」


 僧正はそう告げると、七丸を呼び寄せる。

 勇輝たちがギルドの外へと向かっていく中、公太は僅かに目を細めると、近くに座っている他の職員へと目配せした。

 出入口の暖簾が揺れ、勇輝たちの姿が見えなくなる。すると、十数グループいた冒険者の集団の一つが、依頼を受けたわけでもないのに、急に外へと向かい始めた。

 僧正は勇輝に話しかけるふりをして、追って来る三人組を視界の端に捉えて鼻で笑う。


「ふっ、あまりにも稚拙で欠伸が出るわ」


 僧正は勇輝に聞こえるように呟いた。

 七丸の左手を握って歩いていた勇輝は、驚いて僧正を見る。


「後ろを見るでないぞ? どうやら、何者かが尾行してくるつもりらしい」

「え? 何でですか?」

「さてな。相手を撒いても良いのだが、この娘のこともある。我らがいなくなった時に狙われるのも癪だ。少しばかり揉んでやろう」


 僧正がわざとらしく拳を鳴らして、口角を吊り上げる。


「七丸がいるから、ほどほどにしてくださいよ? それに今、この街は厳戒態勢の一歩手前なんですから、何かあったら近くの兵に捕まります」

「わかっとらんな。逆に、その兵を利用してやればよい」


 僧正はそう告げると、懐から木でできた容器を取り出した。蓋を外したので、勇輝が中を見ると紙と鉛筆が入っている。

 普段、筆で書く姿を見ることが多かったので、鉛筆を持っていることに違和感を感じる勇輝。


「いいだろう? お主と別れた後に買ったのだが、非常に便利だ。削る用の小柄(こづか)もあって、多少、根は張ったがな」


 そう嬉しそうに告げながら、入れ物を下敷き代わりに何かを書き始める。

 初めて鉛筆を持ったにしては、手の動かし方に違和感はなく、普通に達筆な文字を書き上げていた。

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