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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第22巻 からくれなゐに染まる腕

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待ちぼうけⅣ

「あそこに見えるのが、お主らが入って来た港。恐らく、巫女長の話が本当ならば、近日中に目的の物が運ばれてくるはずだ」

「その前に、お姫様御一行が到着されるかもしれませんね」


 勇輝は停泊する船を見ながら、紺碧の海原。その先に見える水平線に目を向ける。

 行き来する船たちの多くは冒険者と物資の運搬であった。昔は海の魔物で沈没することが多かったというが、日ノ本国の奉る水龍が航海の安全を保障しているという。

 王族や国の重鎮は、それを信じ切ることができずに使者の派遣を避けているという中、商人や冒険者たちは、恐れることなく海を渡る。

 それはどちらが悪いとかいう話ではない。前者は万が一が起こった時に替えが効かない。後者はそうでもしなければ生きることができない者、まだ見ぬ世界や利益を求める者など同列に語ること自体が間違っている。

 もちろん、日ノ本国も手をこまねいて黙っていたわけではない。自ら高官を派遣することで交流を図ったり、航海の安全性を証明してきたりしていた。

 今回のファンメル王国のアメリア王女の来訪も、もしかすると、そんな努力の成果かもしれない。


「海京では人が多く集まる故、様々な物が溢れかえっていたが、ここは交易の中心地。そうともなれば商人と職人にとっては海京よりも激戦地かもしれんな」


 海外から入る食材やレシピで新しい料理に挑戦するもよし。自信の品を海の向こうへ届け、己の名を世界に知らしめるもよし。そういう意味では彼らもまた冒険者に違いない。


「じゃあ、あれですね。広之さん以外にも何か軽いもので、疲れとかが取れる物があればいいですね」

「そう簡単に見つかればいいがな」


 そう言いながら僧正は検問所の周辺を指差す。


「まず、検問所の周囲は基本的に食事処か商店がある。そして、そこから少し離れたところに宿泊所だ。遠くにあるほど、何かしらの職人がやっている店が多くなるな」


 何かしらの物づくりをしているところは、無理矢理見せなくても勝手に客が寄って来るので、中心からは離れたところにあるようだ。


「さて、街の全貌を見渡したところで、道を戻るとしよう。流石に我も腹が減った。いつもは川魚だが、今日はせっかくだから海の魚を食べられるかもしれんな」

「山伏でも、僧侶の恰好でもないから気兼ねなく人前で食べられますね」


 僧正と名乗っているが普通に魚を食べる。

 本人的には、命の大切さを忘れないことが大切なのだと言う。その意見には勇輝も同感なので、特に責めることもなく食事をするが、それを外部の人間が見たら、また別の話だろう。尤も、人間ではないという時点で、色々と問題点はあるかもしれないが。

 若干、皮肉交じりの言葉にも僧正は嫌な顔せず、むしろ、嬉しそうに笑いながら坂を下る。


「はっはっはっ、お主も言うようになったな。まぁ、いい。ここのところ戦い続きだったのだ。少しは体を休めんと、お主まで倒れてしまうぞ」

「もう既に何度か倒れているので手遅れですね」


 数日前には本当に意識を失って倒れるところまでいった。魔物がうろつく村の外で倒れたことを考えると、正直、生きているのが不思議で仕方がない。酷い痛みこそないが、勇輝は体のどこかが軋んでいるような錯覚をすることが時々ある。


「ならば美味い飯を食い、動いて、寝る。大抵のことはこれで解決するもんだ」

「(――――僧正さん。もしかして、いつもよりテンションが高い?)」


 疑問に思いながらも、口に出すことができずに再び人混みの中へと勇輝は突入していく。前を行く僧正に置いて行かれまいと速度を上げた。冷たい風が頬を叩いていくが、時折、鼻腔をおいしそうな匂いが横切り、思わずお腹が大きな音を立てる。

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