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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第22巻 からくれなゐに染まる腕

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怪僧Ⅵ

 今回用意するのは、その結界を別の側面から強化すると同時に、結界内の浄化も手助けするというもの。それを同じ巫女の立場である巫女長が、神道ではなく仏教勢力から力を借りねばならないことに、僧正は懸念を表す。


「表立って用意すると、それを聞いた者の中から批判して来る者が現れるかもしれんが、問題はなかったのか?」

「その程度の輩は気にする必要はない、とはいえ、儂はともかく他の巫女たちに迷惑が掛かるのは避けたい。既に水姫様には許可も貰っているから、堂々と言ってはこないはず――――」


 それでもゼロにはできないと巫女長は言外に語った。


「でも、何であのお坊さんが協力してくれることになったのさ。そもそも、そんな能力があることもそう都合よく見つかるなんて……」

「能力に関しては本当に偶然としか言いようがない。何せ、土蜘蛛の事件に関しての取り調べ中に発覚したことだからね。まぁ、協力してくれることになったのは、単純に彼が復讐に関して以外は善人寄りの人間だったということだろう」


 巫女長が広之の為に助力を要請した時も、二つ返事で頷いたという。彼にとっては自分を裏切った村人と商人が正しく処罰されるのならば、例え処刑される未来が訪れようとも、協力を惜しまないという姿勢らしい。


「恩赦とまではいかずとも、何かしらの形で減刑してその力を活かし続けるというのも一つの手だろうな」

「本人が望むかどうかはわからないけどね。少なくとも、そう考える人間は出て来始めているのは否定できない」


 土蜘蛛の封印塚が破られたことについては、周知の事実。当然、その取り調べの結果も役人の中ではかなり広まっている。そうなれば、その際に使われた力を利用できないかと良くも悪くも考えるのが術士だ。それは巫女や陰陽師に限らず、術を用いない武士でも同じである。

 表向きは権力闘争など見えないが、逆に見えない所ではドロドロ――――などという言葉が生温いほど足の引っ張り合いが繰り広げられている。ほんの百年ほど前までは、役人が呪いを掛け合っていたなんて事件もあったと雛森村に住んでいる僧正ですら知っているくらいだ。尤も、日ノ本国の場合は、それでもまだ可愛い方だと僧正は言う。

 流石に問題視した時の水皇が城内の結界に細工を施して、そういう行為ができないようにしたという話もあるのだが、実際はどこまで効力があるのかは疑問である。


「とにもかくにも、だ。勇輝と僧正殿にはやってもらうことがある。内容は簡単。洞津に着くだろう材料を持ってきてほしい」

「(他の人でもできそうなことなのに、俺たちに頼むということは……つまり、()()()()()()か?)」


 裏で手を回して材料をすり替えたり、台無しにしたりすることで、それなりに陰陽師として名高い広之を二度と戻って来られなくする。そんな考えをもつ者がいても不思議ではない。

 そうなれば、巫女長の声が届く中で人を動かそうとなると、巫女以外ではなかなか難しい。結果として、身内である勇輝とその師匠という二人ならば、巫女長からすれば安心できる。


「でも、ちょっと待って。今から材料を取りに行って、戻って来たとして……作り終えるのはどれくらいになる予定?」

「取り調べもあるからね。正直、それはいつになるかわからない。本人は三日もあればできると言ってるけどね」

「何か逆に変な物を仕込んでいそうで怖いな。我も可能だったら、その僧と話をさせてもらいたいところだが……難しいだろうな」


 話していることが嘘か真実かを見抜くことができる僧正は、少しばかり疑念を抱いたらしい。それほどまでに高性能な道具をたった三日で完成させられるとは到底思えないからだ。巫女長が言っている言葉は真実かもしれないが、それはその僧が放った言葉自体が正しいことを保証するものではない。


「命にすぐ支障があるわけではないが、できるだけ早く回復させたいのは事実だ。申し訳ないけど、まずは材料の確保だけでも何とかしなければいけない。頼めるかい?」


 その言葉に勇輝と僧正は即座に首を縦に振った。

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