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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第21巻 疑惑の白面狐

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因果応報Ⅰ

 時間は阿上が姿を現した頃にまで遡る。

 雛森村まで来た金囲は、可能な限り村の中で暴れようと機を伺っていた。


「(可能なら村の奴に化けて、出来るだけ人の多い所で()()()()のが一番だが……おかしいな。変化の術を見破る札ってやつがあるとは聞いていたが、どいつもこいつもつけてやがる。この数日で用意したにしては多くないか? それとも、表に出ている奴だけが着けているのか?)」


 村の様子は完全に警戒態勢に入っていた。外をうろついている男たちは誰もがお札を胸など目につくところに着けており、紛れ込もうとしてもすぐにバレてしまう。今の金囲ならば、その札ごと変化で誤魔化すことはできるが、どこで陰陽師が罠を張っているかわからない以上、お札を誤魔化してまで紛れ込むというのは少し危険だ。もしやるならば、せめて判断力が鈍い子供相手に対してくらいだろう。

 せっかくの自分の能力を生かす機会だったのに、それが出来ずにイラつく金囲。しかし、ここで癇癪などを起こしている場合ではないと自分に言い聞かせて、歩き出す。

 次善の策として、金囲が考えたのは奇しくも尾兎無がとった手段と同じ。物陰に隠れて可能な限り中心部へと近づくということだった。もし可能ならば、女子供がいる建物を探し出して、そこで暴れられれば、より効果的だとも考えている。残虐性という点においては、尾兎無よりもむしろ金囲の方が上を行く。


「――――っと、丁度いい所にガキが一人。これなら行けるか」


 そう呟くと、家と家の間の道にいた少年の方へ後ろから歩み寄る。

 服装と人は、この場所から最も遠い所にいた人物を模倣。髭面で、がっしりとした屈強な男へと変貌する。そのまま、少年の背後へと立つと、少し低めの声で叱るように呼びかけた。


「おい、坊主。こんな所をうろついていると危ないぞ。どこから来たんだ?」

「あ、おじさん。ずっと家に籠ってたから、ちょっと抜け出して来たんだ。もうずっとお外に出れないから、つまらないんだもん」


 朗らかな笑みを浮かべる少年に、金囲は近付くとその頭にゴツゴツとした手を置いて撫でる。


「危ない人がいるから、大人たちはみんなお前たちを守ろうと頑張っているんだ。悪い人がいなくなったら、たくさん遊んでいいから我慢しなさい。ほら、おじさんと()()()()()()家に帰るぞ」

「うん。わかった」


 表の通りへと行こうとする少年だが、金囲はその手を掴んだまま動かない。微動だにしない金囲を不思議に思った少年は首を捻った。


「表から行くと他の大人に見つかるだろう。そうしたら、お前が怒られてしまう。そうならないよう裏から回ろうか」

「そうだね。じゃあ、こっちだ」


 すぐに踵を返した少年を見て、腕を引っ張られながら金囲は内心で笑みを浮かべる。

 尾兎無から聞いていた通り、村の非戦闘員は幾つかの家にまとめて集まっていることは正しかった。()()をかけてみたが、想定以上に上手く行ったことに金囲自身驚きを隠せない。

 少年に導かれるまま角を曲がり、屋敷の裏を歩いていく。


「今、坊主がいる家には、大体どれくらいいるんだ?」

「うーん、子供だけでもたくさんいるよ。お母さんたちも入れると数え切れないや。みんなをまとめる当主様の家って大きいんだね」

「そりゃ、それだけ大変な仕事をしているからな。自分の仕事をして、他の人のことも考えなきゃならん。こんなに忙しいことを一人でやらなければならぬのだからな。家の一つや二つ、余分に与えられてもおかしくはないだろう」


 この時点で少年は用済みとなった。元々、この村に紛れ込むために何度か偵察をしていたから、当主の家と言うのもすぐにわかる。後は、この少年を殺すタイミングを見つけて葬っても良いし、辿り着いた先でまとめて虐殺しても良い。

 そんなことを考えて、さらに道を曲がって再び一本道へと入っていくと、金囲は眉をしかめた。

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