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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第15巻 焔薙ぐ銀光

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言之葉家Ⅳ

「おっ嬢! みなさん、入っていただいて構わないそうですよ!」

「良かった。それじゃあ、どうぞ、入ってください」


 桜が言うと、二人の式神が道を開けて、僅かに頭を下げる。

 勇輝たちは荷台から荷物を降ろし、恐る恐ると言った様子で歩いていくが、二人は微動だにしない。目の前を通り過ぎても、恐怖が後ろ髪を引いて、思わず振り返ってしまう。


「(……驚き過ぎて魔眼を開くことも忘れてたけど、魔眼で見たら何て言われることやら)」


 野生の勘は鋭いというし、それが桜の父にバレたら、それはそれで面倒なことになって困るだろう。魔眼を開かなかったことをむしろ幸運だと捉えて、勇輝は桜の後を着いていく。


「武器は持ったままでも大丈夫か?」

「あ、多分、大丈夫だと思います。ただ、手に持ったりすると勘違いされるかもしれないので、極力触れないようお願いします」


 隆三は短く、そうか、と返すと、顔は動かさずに何かを探るような目つきに変わる。彼だけではない、正司や巴も明らかに目つきが変わった。先程のまーさんたちのような存在を探しているのだろう。

 勇輝は探し出すと魔眼を開いていしまう予感がしたので、純粋に肉眼で桜の実家を見ることにした。

 入って右手に広がっているのは大きな池と、そこに浮かぶ小さな島。そして、そこに渡るための木の橋が架かっている。辺りには立派な松の木が何本も植えられており、パッと見渡すだけでも相当な手入れが必要なことが伺えた。


「ごめんなさい。本当だったら(きざはし)まで馬車を寄せてもらうんですが、家の構造と警護の関係で、門の所までしか無理なんです」

「き、階?」

「あの正面に見えるデカい建物の前。影になって見えないが階段があるんだ。そこのことだ」


 勇輝が物珍しそうにあたりを見渡しているので、すぐに正司が後ろから答えを言う。ただ、気配を探る方によほど集中しているのか。いつものような陽気な声ではなく、ぶっきらぼうなのは否めない。


「……勇輝、お前さんはちょっと常識知らずなところがあるから先に言っておくが、そのまま桜の嬢ちゃんに着いて行って、そのまま家に入るなよ?」

「え、駄目なんですか!? 」

「当たり前だ。おバカ! 入れるのは家族までだ。さっきの奴らに叩き出されても文句は言えないぞ!?」


 正司の言葉に衝撃を受けながらも、そのことを今の内に知ることができてほっとする勇輝。そんな様子を見て、桜は苦笑いを浮かべる。


「そうだった。勇輝さん、あんまりそういうこと知らないんだったね。大丈夫、何かあっても私が守るから。それに、その前に勇輝さんにはこっそり教えて上げれるようにしておかないとね」


 桜は一枚の札を取り出すと、それをチビ桜に変えた。

 ふわりと浮き上がったチビ桜は勇輝の近くまで飛んでくると、そのままコートのポケットへと慣れた動きで飛び込んでいく。


「ここからなら、何とか勇輝さんに伝えられるでしょ?」

「まさかこんな近距離にいるのに、チビ桜にお世話になる時が来るとは思わなかったよ」

「お父さんの前だと、私は自分の部屋に荷物を置いて来るように言われるだろうから」


 そう言って桜は自分と勇輝の手に持っている物を示す。ファンメル王国で使っていた衣服や道具は勿論、ここに来る過程で手に入れたものが結構嵩張っている。そんな状態では流石に落ち着いて話ができないのは道理だろう。


「先に私が入って、お父さんを呼んでくるから、勇輝さんは階の前で少し待っててね、正司さんの言う通り、中に入ったら怒られるから」

「わかった。大人しく待ってるよ。これは、いつ渡せばいい?」


 勇輝が持っている物の中には、先日手に入れた火鼠の皮衣から作られた反物があった。下手をするとこの世に幾つ存在するかわからないほどのレアアイテムだ。それも含めて、勇輝が桜の荷物の大半を持っているが、それら全てを一度に渡すことは難しい。

 勇輝は恐らくだが、まーさんたちのような人が桜の代わりに荷物を運んでくれるのだろうと考えていた。

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