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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第15巻 焔薙ぐ銀光

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言之葉家Ⅲ

 話し方のおかげで大分恐怖感は薄れているが、もし夜道なんかで出会えば卒倒ものな巨体と装備だ。一般人なら思わず声を挙げて逃げ出していてもおかしくはない。

 彼女を始めとした勇輝たちが立っていられるのは、今までに数多くの魔物と対峙したことがあるからだった。


「しかし、嬢以外のお客さんがいっぺーいるだな。こりゃあ、主もきっと驚くだあよ」

「そういえば、私がここに呼び出された理由って、もーさん聞いてる?」

「いんや。呼ぶということは知っとったけど、詳しくは知らねーだ。知ってるのは大方、頭のいい()()()()()()()だあ」


 もーさんと呼ばれた者は頬を搔きながら、上を向いて何かを考えているようだが、思い当たる節はないようだ。

 だが、勇輝はその口から漏れた言葉を聞き逃さなかった。


「(『シキ』が最後に着く似たような言葉がさっきから聞こえるけど、もしかしてこの動物の頭をした人たちが、まだ他にもいるのか?)」


 かつて安倍晴明は十二天将と呼ばれる式神を配下に置いていたという。もしかすると桜の父も同じように何かしらの式神を複数体使役している可能性は否定できない。

 困った顔をしながら隆三に視線を送るが、隆三も心当たりはないようで首を横に振った。


「悪いが、俺は嬢ちゃんの家族とは縁がない。もちろん、あの得体の知れない奴らもだ」


 魔弓こそ手に持ってはいないが、腕組みしていた手はいつの間にか横にだらんと垂れ、いつでも攻撃に対応できるようになっていた。それは隆三の実力を以てしても、目の前にいる牛頭の存在が危険であるということなのだろう。

 そんな隆三の気配に気付いたのか。牛頭の者がふと顔を上げた。


「こりゃあ、挨拶もなしに失礼をしただ。おら、ここの護衛をやっとるチュウシキ言うもんだあ。名前は面倒だから、あんたらも『もーさん』と呼んでくれると嬉しいだよ」

「こいつはふざけてるのか。或いは馬鹿にしているのか。はたまた、本気なのか――――」


 隆三がぼそりと呟きながら一歩出る。僅かだが敏感になっていた勇輝は、すぐにそれが殺気の混じった威圧であることに気付いた。


「うん? 嬢の知り合い、ものすごく強くねえか? おら、何度か人間と手合わせしたことがあるけんど、見ただけで強いってわかるだ」

「うん。この人は北御門隆三さんって言って、あの四方位貴族の家系の方なの」

「はー、あの爺様の息子、いや、お孫さんかー。そりゃ、強そうなわけだあ」


 ただでさえ丸い目をかっと見開いて、隆三を見つめる。それは驚きでも恐怖でもなく、興味一色に染まっているのが、傍から見ているだけでもわかった。


「なんだ。俺の爺さんと知り合いなのか?」

「んだ。初めて会った時に急に槍で突いてきたから、怖かったのなんの。物覚えの悪いおらだけど、あの爺様だけは絶対に忘れられないだよ」

「そうか。そりゃ、俺の爺さんが悪いことしたな」

「気にしなくていいだよ。おら、強い奴と戦えるのは好きだから、無我夢中で楽しめただ」


 その言葉に隆三は複雑そうな顔をした。

 隆三の知る祖父。つまり、北御門の現当主は――――隆三が言うには―――――若い頃から血気盛んだったという。そんな彼が挨拶もなしに攻撃をするということは、一撃目こそ寸止めする最低限の常識があったとはいえ、その後の戦いで手を抜くとは考えられない。

 何年前に出会った時のことかわからないが、そんな彼と戦って楽しめたという発言ができること自体が相当な実力の持ち主であることを語っている。


「そいつは恐ろしいな。俺も時間が合ったら手合わせしてもらいたいもんだ」

「んだんだ。こちらからもお願いしたいんだな」


 そんな会話をしていると、無邪気そうな笑顔で頷くもーさんの後ろから、土煙を上げて馬面のまーさんがやって来る。かなり興奮しているらしく、鼻を膨らませて勢いよく息を吸っては吐いていた。

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