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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第14巻 紅より来たる龍

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雷天大壮Ⅴ

『愚かなことを……』


 己の主の所業に、青龍は珍しく本人の前で顔をしかめた。

 幾重にも渡る雷の連撃。連撃と言っても、それは人間の時間間隔からすれば同時と言っても過言ではない。周りの木々はそのエネルギーに耐え切れずに幹に罅が入り、枝が折れる。その内の何本かは裂け目から火を噴き、燃え盛っている。

 一瞬にして、辺りが一変してしまった中で、勇輝たちは体を強張らせたまま立ち尽くしていた。


「さて、これは警告だ。次は当てる。」


 大龍の言葉は半分が本当で、半分が嘘であった。何しろ、彼が扱っている卜占の要素を含んだ攻撃は、一歩間違えると己に返って来る。一撃目はわざと外すのが、今回の条件。そうでなければ、自らの力を暴走させることになってしまう。

 それ故に、大龍は大きく息を整えながら、再び先程と同じように剣を垂直に立てて構えた。


「――――っ!?」


 その時、大龍の表情が一瞬だけ歪む。腹部を庇うような動きを見せるが、すぐに姿勢を戻した。


「(なんだ? 時間差で殴られたことに気付いたみたいな……!?)」


 その原因はすぐにわかった。眩んでいた視界が戻ってくると、勇輝の魔眼には鮮やかに輝く緑色の中に一点だけ、青い光が滲んでいるのが見えた。それは大龍が庇ったように見えた脇腹である。

 あまりにも見覚えがある色に勇輝はすぐにそれが何か気付いた。


「(弾かれたように見えたガンドだったけど、命中していたのか!)」


 もちろん、護符か何かで防御されている様子があったので、直撃ではないだろう。しかし、ガンドの効果は本来、相手を病気にさせたり、痛みを与えたりする程度だ。勇輝のように物理的な威力まで出ること自体が異常で、むしろ直撃してこのくらいの反応が普通なのだろう。

 だが、それもほんの数秒。水の中に入れた砂糖のように、青い色は塗りつぶされてしまう。


「おい、俺の近くに寄れ! また雷を落とされたら誰かが死ぬぞ」

「その様子を見るに、魔弓には何かしらの防御機構――――或いは魔力還元機構でもあるのか? どちらにしても、それを上回る威力で放てば問題はないだろうし、何十と言う雷を全て一点に集める。防ぎきれると思ったなら大間違いだ」

「……隆三さん。さっき、札を使っていたとはいえ、あいつ、雷を真横に放ってましたよね?」


 勇輝がぼそりと呟くと隆三は舌打ちをした。

 札を使うのは魔力の節約や術自体のコントロールをしやすくするためだ。逆に言えば、道具を使わずとも自分の力に自信がある場合は、それを使わなくとも発動することができる。

 仮にも李家の青龍を預かっている身なのだ。それくらいの技術は学んでいてもおかしくはない。

 前後左右から襲われるかもしれないという中で、大龍を倒すとするならば、最早前進あるのみだ。そう真っ先に考えたのは勇輝と正司だった。


「こうなったら、正面突破するか。逃げてもどこまでも追ってきやがりそうだしな」

「奇遇ですね。俺も同じことを考えていたんです。ただ、あの雷を前に突っ込んで行けるかは微妙ですが……」


 大龍の魔力で作られた魔法ならば、勇輝の結界も起動する。ただ一点、不安があるとすればそれは頭上だ。勇輝の真下を中心にした円が結界の範囲。一見、問題はなさそうに見えるが、先の攻撃を見て、円柱状に結界が存在しているのならば、真上と真下からの攻撃には無防備であることに気付いた。


「雷だからせめて真上が守れたまま突撃できればいいんだけど……」

「悪いがお前について行ったら、嬢ちゃんたちを守れないぞ。やるならお前たち二人しかいないな」


 魔弓で攻撃するという手段もあるが、魔法などの遠距離攻撃の場合、まだ護符に弾かれるかもしれない。そこで、隆三は勇輝と正司に素早く視線を送る。


「……できるか?」

「可能かもしれませんが、少し防御がきついでしょうね。何せ俺の結界、真上が開いてるかもしれないから」


 ほぼ絶望としか言いようのない状態。せめて少しは耐えるだけの何かが欲しい。そう思っていた時、桜が小さく声を投げかけた。

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