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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第14巻 紅より来たる龍

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雷天大壮Ⅳ

 大龍は舌打ちをすると、青龍に剣を向ける。


「おい、俺のいない所で勝手なことをするな」

『別にそのまま放っておいても構わなかったが、その場合はお前の命の保証は出来ない状態になってしまっただろうな』

「……まあ、いい。ほら、俺に魔力を回せ。こんなやつら、最初から一掃すればよかったんだ」


 ミシリッ、と空間が歪む様な圧迫感を勇輝は感じた。初めて大龍が、青龍ではなく己の魔力を解放したのだと直感で理解する。

 以前にもこの感覚は感じたことがある。最も近いのは、ローレンス伯爵夫人のビクトリアの威圧感だ。すぐに勇輝が魔眼を開くと、辺り一帯が深緑を思わせる緑に覆われていた。


『……悪いがそれはやめておいた方が良い。この辺りが焦土と化すぞ』

「構わん。他国の領土がどうなろうが、俺がやったとバレなければ問題ないだろう?」

『…………はぁ』


 もはや呆れて言葉が出ないのか、青龍は横に首を振るしかなかった。


『やりたければ、お前ひとりでやるといい。これ以上、我が動くといろいろと不味いからな』

「国に帰ったら覚えてろよ……!?」

『無事に帰れたのならな」


 青龍は力を使えば何かしらの結界に引っ掛かると考えたのだろう。事実、彼の能力は、現在進行形で制限されている。そのことを考えれば、まったく以て正しい判断だろう。

 もし、ここで青龍が大龍経由で魔法を発動していた場合、首都の海京にいる巫女の何人かに術式まで捕捉されて、面倒なことになる。それは力を封じられるだけでなく、外交問題的な意味も含んでいた。


「まだ、やるのか?」

「やらない理由があるとでも?」


 勇輝の問いに大龍は即答する。こうなってしまえば、完全に大龍を無力化して勇輝たちが姿をくらまさなければ、永遠と付き纏ってくる勢いすら感じてしまう。

 勇輝たちからすれば、とんでもなく迷惑な輩だが、対処しないことにはどうにもならない。そして、それを殺さずにとなれば、もう迷惑どころの話ではない。


「……これは決闘じゃないから、流石に割り込ませてもらうぞ。文句はないな」

「そうですね。流石に俺も一人で、もう一度戦うのは勘弁してほしいと思っていたところです」

「つまり、だ。俺たち五人を相手にしなけりゃいけないわけだ。それでもやるか?」


 大龍からすれば直接戦ったことがあるのは勇輝のみ。それ以外の四人の戦闘方法については、ほとんど情報をもっていないと考えて間違いない。加えて、この人数差だ。いくら力があるとしても、よほどの切り札がない限りは、尻込みしてしまうのが普通だ。

 しかし、大龍は一歩前に出て不敵な笑みを浮かべる。


「むしろ、好都合だ。お前たち五人全員を相手にする方が、無駄な調整をしなくて済む」

「何だと……!?」


 大龍は剣を天に向け、左手の人差し指と中指を立てて、その腹に添える。あくまで何かしらの道術を使うつもりのようで、全員の視線が剣へと集まった。

 勇輝の魔眼には、ガンドのように剣に魔力が収束していくのが見える。しかし、そこから先に起こることは、その瞬間まではわからない。目を見開いて、勇輝もまた体中に魔力を流すと共に、ガンドを装填する。

 今まで感じていた重さが嘘のように消え、一瞬でガンド六発全てが撃てる状態に移行した。


「(攻撃動作に入った瞬間に撃ち抜いてやる!)」


 むしろ、今すぐにでも撃ちたい衝動に駆られそうになるのを押さえて、勇輝は人差し指を大龍へと向ける。それを合図に隆三は魔弓を構え、正司は刀を抜いて側面に展開した。桜が後ろで小さく詠唱を開始し、その横に護衛として巴が刀を構えたまま並ぶ。


「では見せてやろう。青龍の力など借りなくても、()()()()()()()ができるのだ、と――――『雷神 招来悪果 急々如律令』」


 そう宣言すると大龍は声高らかに剣を掲げて詠唱した。すぐに指と魔弓から放たれた不可視の弾丸と矢が彼を目掛けて疾駆する。

 だが、それが直撃するかに見えた瞬間、大龍の周りで二人の攻撃が弾きとんだ。


「しまった! あいつ、どこかにまだ護符を仕込んでいたのか!?」


 隆三が慌てて魔弓の弦を引き絞るが、それよりも大龍の詠唱が完成するのが先だった。

 視界を埋め尽くす白光と轟音。勇輝たちの感覚はその二つで何もかもを塗りつぶされてしまう。

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