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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第14巻 紅より来たる龍

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雷天大壮Ⅱ

 力は明らかに青龍の方が上にも関わらず、消極的な姿勢に疑問を覚える勇輝。その気になれば、ここら一帯を吹き飛ばすことも可能というが、それははったりだったのだろうか。


『――――』

「な、なんだ?」


 じっと青龍が自分を見つめていることに気付き、僅かに後退する。すると青龍は口を横に広げ、眉根を寄せた。


『我は人の心までは読めんが、考えていることは予想できたぞ。我がこの辺りを吹き飛ばせると言ったのは法螺話とでも思ったか?』

「うっ……」


 勇輝は図星を突かれ、心臓が跳ねるのを感じた。精霊や神霊と言うのはどうにも勘が鋭いところがあるらしい。怒っているというほどではないが、不機嫌であることはすぐにわかった。


「物を知らないってのは怖いことだ。いいか、勇輝。この国に入っているせいで多少弱体化しているとはいえ、本気を出せば文字通り辺り一帯が吹き飛ぶぞ。冗談抜きでな」

『だが、その少年がそう思ってしまうのも無理はない。何せ我自身もまだ若い方だからな。力不足であることは否定はせん』

「やめてくれ。あれで力不足となったら、それ以上の奴の本気を想像しちまう」


 隆三が何気なく会話しているが、勇輝と桜は青龍の言葉に身を震わせる。


「それ以上の力って……」

「どれくらいだ……?」


 山が吹き飛ぶとか、もはや神話のレベルだ。そう考えて、勇輝は目の前の存在が神話の存在であることを改めて再認識する。


『まぁ、こちらとしては不出来な主に振り回されて、我自身まで同じ評価を受けるのが面倒だというだけだ。実力はあっても肝心なところでヘマをする』


 一度、大きくため息をついた後、青龍はさて、と話を本題に戻した。


『それで我々の目的だが、少しばかり危ない代物を間違って変な場所に送りつけた馬鹿な虎がいてな。その尻拭いで、この国まで回収しに来たのだ』

「うん? 間違って送りつけたのなら、返してもらえばいいだけじゃないのか?」

『それで済むなら苦労はせん。詳細は省くが、その大馬鹿はあろうことか転移の道術を起動させてしまったのだ。大体の場所は把握できているのだが、細かい位置取りまではわからん。そこで占い《探し物》が得意な主が、皇帝より命を受けて遠路はるばる探しに来たというわけだ』


 つまり勇輝たちを探すのはついでで、本来の目的は失せ物探しだという。正直、青龍から言わせれば、ついでの方に気を取られて本題の件に支障をきたすのは大問題らしい。

 冷静に考えれば、国のトップからの直接の命令をどうでもいいことで失敗するのは確かに危険だろう。会社であれば左遷や減給で話が済めばよい方だ。最悪の場合はクビの可能性もある。大龍の場合に合わせるならば、クビとは即ち処刑のことであるが。


「それでどんなもんを探してるんだ? そっちの国の利になることなら知らんで済ませようとしたが、危険な物だというのなら話は別だ」

「我らも実物を見たことはないので何とも言えないのだが、聞くところによれば大きな黒曜石を切り出した石碑のようなものだ」


 青龍の言葉を聞いて、おや、と勇輝は思った。最近、そんなものを見かけた気がする。


「詳しくは話せぬが、そこには主の国の言葉が図形と共に刻まれている。ファンメル王国でいう魔法陣に近いだろう」

「……それ、『魔力を吸い込んで魔物を召喚する』とかいう機能付いてないですか?」


 桜が恐る恐る問いかけると青龍の首が桜に向けて勢いよく回る。そのまま、首を伸ばして桜の方へと顔を近付けた。演技でも何でもなく本気で慌てているようで、尻尾が忙しなく揺れ動いている。


「な、何故、それを知っている!?」

「そ、その、数日前に地下のダンジョンみたいなところで、それっぽいものを見つけたんです。ただ――――」


 桜は困った表情で勇輝へと視線を送る。果たしてその物体の結末を伝えていいものなのか。勇輝もどう答えればいいのか正解が思いつかない。

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