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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第14巻 紅より来たる龍

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雷天大壮Ⅰ

 再び勇輝が目を開けると、土埃が舞う中で隆三が立っていた。まだ目がチカチカしてはっきりと姿を見ることはできないが、それだけは視認できた。


『何と……そのような能力があったか……』


 同様に青龍も隆三の姿を視認したのか。驚愕の声を漏らした。

 耳鳴りのする勇輝たちにも、その声はハッキリと聞こえている。


「魔弓の能力って、もしかして!?」


 勇輝の横で何か思い当たる節があったのか。桜が声を上げた。

 その視線の先にはまだ雷の残像が尾を引いているかに見えた。だが、それは間違いだ。雷は青龍が放った後も、()()()()()()()()()()()()()

 隆三の構えた魔弓には、先程までにはなかった空間に青白い光がそのまま矢の形として存在し、輝き続けていた。


「音に魔力を乗せて放つ。言い換えれば、魔力を吸い取ってやることも可能ってことだ。流石にここまで大きな魔力を吸い込んだのは二度目だが、やってできないことはないな」


 そう言うや否や、もはや限界だとでもいうように右手の指を離す。すると雷の矢は轟音を伴って、上空に瞬く間に駆け上り、拡散していった。

 隆三は持ち手の近くにある角のような突起部分をなぞって、破損状態を確認し始める。雷ないし魔力を吸い込んだ影響で熱を持っていたのか。慌てて指を離す隆三。


「この二つの部位の周辺が魔力を吸い取る役目があるっぽくてな。試しにやってみたら案外簡単にできちまったんだよ。一応、切り札の一つってことであまり使いたくはなかったんだが……。どうせ南条の奴らに渡す時に色々聞かれるんだから、実践での有効利用が可能かも試しておかないとってな」

『体のいい実験動物扱いにされたのには納得がいかんが、見事に防ぎ切ったのは事実。そちらの条件を飲もう』


 先程まで張りつめていた空気が緩み、気持ちの良いそよ風が通り抜けていく。勇輝と桜は顔を見合わせると隆三の下へと歩き始めた。その姿を見て、正司が呆れた声で呟く。


「さっきまであれだけ怯えていたのに、よく近付けるもんだ」

「青龍が主と違って性根が曲がってないと思ったのだろう? そうでなければ、最初の時点で死んでいたのはお前の方だ」


 正司が吹き飛ばされたのは青龍が巻き起こした風だ。アレが雷だったのならば避けるどころか、防ぐこともままならず即死していた。それは正司も否定できなかった。

 勇輝たちの後を追いながらも、まだ緊張が抜けていないのだろう。巴の表情は強張り、口調も硬くなっていた。先程の発言も、正司に説明するというよりは自分に言い聞かせる形に近い。


「あの子たちの方が、もしかすると遥かに危険な存在になるかもしれない。そう思ってしまう私はおかしいのだろうか?」

「知るかよ。人として生きるも、怨念となって生きるも、化け物になって生きるも、そいつの気持ち次第だろ? 短いとはいえ、あいつらと旅して何を見てたんだ」

「そ、そうだな。私は一体、何を言っているんだか……」


 空笑いしながら、巴は視線を前へと向ける。

 ちょうど、そこには青龍と対峙する隆三と勇輝、桜がいた。その間に距離こそあるが、少なくとも、敵対の意志はないように見えた。


「先の約束。前者はいいとして、後者の方の話は聞かせてもらえるか?」

『構わんぞ。別に知られて困る話……いや、一部の奴は困るかもしれんが、それは私と主には関係ないか』


 一瞬、怪しい雰囲気を醸し出す青龍であったが、すぐに気を取り直して話し始める。


『我と主の目的は二つ。その内、お前たちに関係があるのはローレンス領で起きた事件に関わった黒髪の少年少女の調査だ。主の占い自体には我も一目置いている。恐らく、背後の二人で間違いないのだろう』


 青龍は隆三の両側にいる勇輝と桜へ視線を移す。特に勇輝には桜よりも長く視線が投げかけられていた。


『主の評価ができるだけ下がらないように、我の方から報告をしておこう。身体強化の術式に秀でている程度に収まるようにはしておく。変な気を起こされて、またお前たちの下に来ることは避けたいからな』


 ため息をつくように青龍は首を振った。

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