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異世界魔瞳探索記「あなたの世界は何色ですか?」~極彩色の光が見える魔眼を手に入れて、薬草採取から魔物討伐まで縦横無尽の大活躍~  作者: 一文字 心
第14巻 紅より来たる龍

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神霊Ⅵ

『我の、弱点だと……?』

「あぁ、そうだ。これが他の奴らなら慌てて逃げ出すところだろうが、こちとら四方位貴族ってやつでな。そこの大龍の坊ちゃんと同じように国防の要を担ってるんだ」


 堂々と語り出す隆三に勇輝は呆気に取られる。この威圧感の中でも隆三の表情には焦りも、恐怖の色も浮かんでいない。


「俺たちの国はある程度のことは許容する。しかし、土足で踏み込んで我が物顔で国土を荒らせばどうなるか……わからないほど鈍感じゃないだろう?」


 隆三の言葉に、饒舌だった青龍の動きが止まる。


「この国はお前のような他国の神霊や霊獣とされる存在も受け入れられている。童話や絵画、建築物の至る所にまで使われて、畏敬の念をもって奉り、伝承されてきた。だがな――――」


 そう言って魔弓の弦に隆三は指を番える。

 青龍はそれに警戒したようで、僅かに姿勢を低くしながら後ずさった。


「――――この国に仇為す異物となれば話は別だ。この国全体に張り巡らされた結界が、お前の力を抑えつけるだろうよ」

『この国に入ってからやけに出力が落ちていると思ったが……なるほど、なるほど。外界からの霊的な侵入者は自動的に力が制限される、ということか。そして、横暴を働くほどにその力は強まると。どういう原理かはわからんが、悪意を持っているかどうか、というのも読み取られているみたいだな。霧を作り出した時に、妙な力が働いていたが、その時にはそちらに抵抗があったようには感じられなかったからな」


 青龍の目は勇輝の持つ精霊石へと向けられる。

 元々、ウンディーネが入っていた精霊石だ。今は入っていないとはいえ、同じマナを操る存在。青龍だけが制限されて、ウンディーネの力がそうならないのは他にも理由があると考えるのは不思議ではない。

 しばらくの間、沈黙が場を支配する。

 いくら力が制限されているとはいえ、先程の雷を見て、戦おうと考える人物をなかなか思いつかない。いるとするならばどっかのでたらめな伯爵とその婦人くらいだ。


『このまま、お前たちと対峙していれればさらに力が弱まる、と』

「そうだな。そちらは主を庇いながら戦うしかない。こちらはこの魔弓で防ぐだけならいくらでも対応できる。時間が経つにつれて、お前はどんどん弱くなっていくから、そこまで耐えればいいだけだ」


 魔弓の弦から隆三が手を離すと、弦が震える音が鳴り響く。すると同時に勇輝たちが感じていた威圧感が和らいだ。


『先の雷も効かぬ、と?』

「試してみるか?」


 探りを入れる様な言葉に、隆三は更に畳みかけるように挑発する。その姿に青龍は明らかに戸惑いを隠せずにいた。


「そうだな……。別にこっちもお前たちを殺したいわけじゃない。何せ、こんなところで死なれたら、そっちの偉い奴が黙っていないだろ?」

『我が国の皇帝が何かしらの反応を示すのは否定しない』

「ならば、こちらの条件はこうだ。『お前自身は極力、こちらに関わらないように努力すること』、そしてもう一つは『この国に訪れた目的を俺たちに話すこと』だ。それなら、ギルドに連れて行くのは勘弁してやる」


 隆三の提示した条件に青龍は明らかな疑惑の眼差しを向けた。隆三の言葉がはったりかを思案しているのだろう。ただ、青龍は己の体に少しずつ締め付ける様な圧迫感を感じていたのは確かなようだ。そうでなければ、ここまで狼狽する必要はない。

 隆三の言った通り、このままの状態が続けば満足に力を振るうことも難しくなるのであれば、不利なのはどちらか。

 それ故に主の命令に背かない範囲で出された二つの条件は、頷くことができないわけではない絶妙なものだったと言えるだろう。


『良いだろう。別に話したところで問題ではないからな。ただし――――』


 青龍の周りでパチパチと電気が弾ける現象が起こり始めた。


『――――我の力を防げると言ったな。その力、少しだけ試させてもらうぞ』

「そうか。いつでも雷を降らせてくるといい」


 そう答えると、隆三は魔弓の弦を一気に引き絞った。

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