07.お宝発見ですわ
「あんな化け物たちと争ってなんていられませんわ!」
マジョリーカは明るく開けたところから、元の薄暗がりへと、そっと静かに引き下がった。今はこうしてイカになって生き返ることができているけど、そんな奇跡が何度も続くとは思えない。
あっちは陽の当たる明るい世界。餌になりそうなチビイカが二倍ぐらい多いかもしれないけど、巨大魚がウヨウヨしていて危険度は二倍どころじゃすまない。
マジョリーカの実力では、今はまだこちら側、暗い日陰でしか生きていけない。
「いつまでもこんな狭くて暗いところに隠れていたいとは思いませんものね。見ていらっしゃい? すぐにそちらへお邪魔させていただきますわよ?」
まずはしっかりと力をつける。話はそれからですわね。
マジョリーカは陰にコソコソ隠れながら、生まれ出てきたばかりのチビイカを狩る作業へと戻った。
それからしばらく、マジョリーカは生まれたばかりのチビイカを捕まえて食べるだけの生活を続けていた。基本は暗がりに引きこもり、たまに明るいところに出る、そんな生活だ。
ただレベルは四のままで、あれからまったく上がっていない。もしかしたら強い敵を倒して食べないと、上がらないのかもしれない。
そうして過ごしているうちに、だんだん周りの風景も目に映るようになってきた。最初の頃は、実は動くものしか見えてなかったのだと、今になって気づかされたわけ。
それでやっと分かったのだけれど、今こうして引きこもっているこの暗がりは、巨大な空洞だった模様だ。
壁と言わず天井と言わず、そこら中に海藻がへばりついている。そのせいか、どこまでが岩壁でどこまでが空洞なのか、ちょっと判別がつきにくい。
壁際に近づいて、海藻の下がどうなっているのか、ちょっとだけめくって確かめてみる。
ぴょこっ!
「あれ? 何かいますわ?」
そう思うよりも素早く、マジョリーカの左手が自動的に動いた。
ひょいっ、ぱくっ!
「あら、これはエビかしら? なかなかの美味ね」
しばらくずっとイカばかり食べてたので、別の味に飢えていたのもあって、そのエビがとんでもなく美味しいものに感じられる。
ついついそこら中の海藻をひっくり返して、隠れているエビやカニを食べあさることに時間を費やしてしまった。
食いしん坊というわけじゃないのよ? 手が自動的に動くんですからねっ!
手動モードに切り替えられるのに、切り替えなかったのは確かだけれど。
もうそろそろ食べるのをやめよう、そう思った時、目の前の海藻が何にへばりついているのか、なぜかその部分が妙に気になった。
丁寧に海藻をむしりとっていくと、下から出てきたのは巨大な金属の円盤。マジョリーカの体の数倍はありそうだ。
「こんなに大きな金属板なんて、一体何に使うのかしら?」
もしかしたら巨大な鏡かもしれない。だとすると、とんでもなく高価なものの可能性もでてくる。
わくわくしながら、金属板の上に掘られた大きな文字を読み取っていく。
「エメ……何かしら? 古くて削れてしまっていて、読み取りにくいですわね。いや、待って。これ、違うわ! 鏡じゃないっ!」
その古びた巨大金属板に書かれていた文字は、こう読むことができた。
『イカルガニア王国 銀貨』と。




