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追放された悪役令嬢、イカに転生して最強に! と思ったら大魔王クラーケンの幼生でしたわ!  作者: 大沙かんな


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05.緊急回避の術ですわ

「狩って狩って狩りつくしますわよっ!」


 気合を入れてみたものの、狩りの効率はどんどん下がり始めていた。


 マジョリーカに襲い掛かってくるチビイカの数が目に見えて減ってきたのだ。それどころかこちらから近づいても、泣きだして逃げだすヤツまで出てくる始末である。


 レベルというモノが四まで上がったことが原因か、それとも共食い王なんて称号がついてしまったことが悪いのか、それとも顔がさらに怖くなったのか。


 どうやらチビイカたちにはマジョリーカがとんでもなく恐ろしい強敵に見えているらしい。


 このままだとせっかくのチャンスを逃がしてしまう。



「狩りというのも、奥が深いものですのね」


 マジョリーカからすると、狩りなんてものは単純で、ただ強ければそれだけでどんな敵でも倒せる、すべての獲物を支配して狩りつくすことができる、それぐらいの感覚だった。


 でもどうやら現実は違うらしい。もしもこの敵には勝てない、負けると思ったら、とっとと逃げてしまえばいいだけなのだ。


 つまり単純な強さだけじゃなく、追いかける速さも同時に身に着けるか、それともうまく隠れながらこっそり倒す。そんな技を鍛えるか、そういった作戦も必要だと言うこと。


 イカにして逃げ、イカにして捕まえるか。お互い命をかけた必死の鬼ごっこ。捕まったら食べられてしまうんだから、そりゃ必死になるに決まってる。



 チビイカたちに逃げられまくった結果、一つの真理に行きついたようだ。そしてもう一つの新たな真理にも。もしも簡単に逃げられてしまうなら、もっとたくさんいる場所を見つけて、そこで狩りをすればいい。


 中には逃げるのを忘れているトボけたやつもいる。たくさんいる場所ならば、そういうトボケたやつにぶつかることだって増えるはず。


 そう気がついたマジョリーカは、もう一度よく辺りを見回してみる。するとチビイカの密度が今までより数倍は高そうな場所がある事に気がついた。


 さっそくそこへと移動してみると、先ほどの場所よりも開けていて、かなり明るい。


「さっきの場所よりたくさんいますわね。これなら狩り放題ですわっ!」


 卵から出てきたばかりのチビイカを狙って近づくと、二本の腕が素早く伸びる。


 よし、捕まえましたわ! 手足に任せておけば勝手に敵を捕まえて食べさせてもらえる。


「イカのお刺身食べ放題ですわ! 幸せですわ~」


 マジョリーカはかなり調子に乗っていた。そんな自分のすぐそばに魔の手が迫ってきていることを、彼女はまだ全く気付いていない。



 食べ終わったので次の獲物を狙う。ちょうど近くにいたチビイカの内の一匹、あの子をいただくとしようかしら。


 す~っと静かに近づく。


 まだ射程距離じゃない。もう少し近づかないと……。


 その時、急にあたりが暗くなった。何かしら? 視線を上に向けてみる。


「なっ! ななななぁ~っ!」


 とんでもなく巨大な口! 逃げなきゃ!


 必死にモガくけれど、体は全然進まない。巨大な口はどんどん迫ってくる。


 口の中に大量に並ぶギザギザの歯。そしてその奥には暗黒が広がっている。飲み込まれたら絶対に助からない。


 そしてその口はもう目の前……



 ビュビューッ!


 間一髪のところで、体が急に加速して、巨大な口をギリギリで避けることに成功した。マジョリーカが、というよりも、体が勝手に。


 この体、自動回避機能までついてるなんて! なんという高性能なのかしら!


 でも、急加速なんてどうやったの? 何か必殺技を勝手に生み出しちゃった?


「もしかして私って超天才かもしれませんわ~~!」



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