16.獲物には秘密がありましたわ
がぶっ! がぶっ! がぶっ!
「痛いっ! 痛いっ! 痛いっ!」
相手の噛みつき攻撃、大きな怪我にはつながっていないけれど、噛まれたところがやけに痛い。
良く見ると、歯型に合わせて紫色に腫れあがっている。
「これ、まさか毒攻撃ですの?」
毒耐性は一応持っているけれど、それは毒耐性(微)、ほんの気休め程度の能力でしかない。
「ええいっ! 反撃ですわ、覚悟なさいませ!」
がぶっ!
マジョリーカも大魚に思いっきり噛みつく。マジョリーカの口には牙は生えてないけれど、その代わりに硬いクチバシがある。大魚程度の硬さなら、問題なく齧れるはず。
「え? 痛い! なんで? ぺっぺっぺっ!」
齧ってみると、なぜか口の中が酷くピリピリして痛む。この大魚、まさか毒持ちじゃないでしょうね?
もしも毒持ちだとしたら、噛まれても毒、噛んでも毒。そうなるともう、イカんともしがたい。
それでも何もしなければ、毒と噛みつき攻撃のせいで負けてしまう。毒の痛みはあるけれど、こちらも噛みついて攻撃し続けるしかない。こうなったらもう、毒で負ける前に倒す、これだ!
ピリピリ体がしびれてるけど、ここは我慢するところだ。
――毒耐性が向上したダワ。微→弱
おお! 毒耐性が強くなったっぽい! ピリピリしびれるのは変わらないし、痛いのは痛いままだけど、これで少し楽になった気がする。
だけど両腕は腫れまくって力が入らず、使い物にならなくなってきた。でもここは逃がすわけにはいかない。腕だけじゃなく、八本の足も使って大魚を無理やり押さえつけにかかる。
「えええ~いっ! おとなしくしなさいなっ!」
がぶっ! がぶっ! がぶっ!
ぴりっ! ぴりっ! ぴりっ!
「ううう~、しびれりゅ……」
――毒耐性が向上したダワ。弱→中
また毒耐性が上がった。こんな風にゴリゴリ毒耐性が上がっていくってことは、こいつの毒って猛毒なのかもしれない。
毒耐性は中まで上がったけれど、痛みもあるままだし、しびれも残っている。両腕の腫れもまだ引かない。だけどちょっとづつ力が戻ってきている感じはある。
力を込めて、最後の一発! がぶりっ!
やっと急所に入ったらしく、大魚がおとなしくなった。
――レベルが9に上がったダワ。スキルポイントが98に増えたダワ。
かなり苦戦したけれど、何とか倒しきったらしい。レベルが上がったことで、毒に侵されていた体もすっかり元通りだ。
「本当に厳しい戦いでしたわ。もぐもぐ……え、ああ、し、しびれりゅ……」
ついつい自動を止めそこねて、毒持ちの大魚をパクパク食べてしまった。
猛毒が毒耐性を突き破り、マジョリーカを直撃する。
ああ、せっかく元通りになったというのに。
ふえええ、からだがひびれて動けましぇんわ……。
…………。
……。
――毒耐性が向上したダワ。中→強
さらに毒耐性が向上して強になるまで、マジョリーカは動けないままで過ごすことになってしまった。
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ここは異界、神々の世界へとつながる場所。
そこにいるのは異界の神、イカ神。彼女は毎日のようにマジョリーカを見守っている。
「危なかったダワ、なんとか介入しなくて済んだダワ。HPがあと四になった時は焦ったダワ」
彼女は戦いが終わったのを見て、ほっと一息つく。
「お茶でも飲むダワ……ぶっ! げほっげほっ、何でまた毒になるダワ~~~っ!」




