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追放された悪役令嬢、イカに転生して最強に! と思ったら大魔王クラーケンの幼生でしたわ!  作者: 大沙かんな


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10/13

10.奇襲は基本ですわ

 やられた!


 完全にやられたっ!


 マジョリーカは突然何者かに捕まり、真っ暗な穴の中にいきなり引きずり込まれていた。


 あまりに突然のことで、上も下も、右も左も、何も分からない。真っ暗すぎて敵の姿も見えやしない。


 混乱する中で、口に近づいてきたもの全部に噛みつき攻撃をお見舞いする。この鋭いクチバシと鋭い爪、それがイカにとっては最大の武器なのだ。


 噛みついた感じからすると、敵はかなり硬い。


 もしかしたら貝? いや、そこまで硬くはないわね。


 ガリッ!


 相手の体の一部を齧り取った。もぐもぐ……この味は! カニかエビに違いない!



 相手はこちらの腕をがっちり握って放そうとしない。


「痛いっ!」


 しかも、どうやらそのままマジョリーカの腕を食べ始めた模様。


 ええい、もう! 食べられてる場合じゃありませんわよ! 噛まれる前に噛め、食べられる前に食べろ、ですわ!



 せめて相手の姿が見えれば、上手く相手の弱点を突いて有利に戦える可能性はある。


 でも今は真っ暗な穴倉の中。全く相手の姿が見えないのだ。感覚としては、マジョリーカよりもかなり大きな敵なのがかろうじて分かる程度。どう考えても不利。


 ああ、せめて明かりがあれば、相手の姿が見えれば……。


 両眼に思いっきり気合を入れて目を凝らしてみる。すると、ぼんやりながら相手の姿が見えてきた。


――スキル『発光』を発動したダワ。


 おお、どうやらイカの体が光っているっぽい! 発動ってことは、擬態スキルと同じように、最初っから持ってたってことですわね。


「さすがイカ。美味しいだけじゃないですわ」



 姿が見えるようになったことで、相手の正体がはっきりした。


 エビだ。それもマジョリーカの五倍から十倍くらいの長さがある。どう見ても巨大エビだ。


「エビなら! いくら巨大でも戦いようはありますわ!」


 そう、エビはどうやっても自分の背中を攻撃できない。いくら背中がメチャクチャ痒(かゆ)くても、自分では自分の背中を掻(か)けないのだ。


 ならば話は簡単。マジョリーカはしっかり掴まれて食べられている腕は諦めて、八本の足で巨大エビの背中に思いっきりしがみつく。


 ガリッ! ガリガリッ!


 そしてその硬い背中の甲羅に思いっきり齧りついた。



 背中はエビにとっては最も大切な場所であり、それを守る甲羅はエビのなかで一番硬い部分だ。そんな場所に穴をあけることが本当にできるのだろうか?


 とてつもない力で暴れ回る巨大エビ。それに振り落とされることなく、必死でしがみつくマジョリーカ。


 もしも振り落とされたら命はない。捕まったのが腕だったから助かっているけれど、もしも本体をそのハサミで掴まれたらもう終わりだ。逃げることも出来なくなるし、戦うことも出来なくなる。


 どちらが先に力尽きるか。


 それは最後まで分からない。



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