11_デンファレ
今回は短めです。
あの魔物の襲撃から、さらに数カ月がたった。
ジークの傷も大したことはなかったんだけれど、教会の中にある医務室で療養をすることになった。
せっかくの同棲生活が中断されてジークは拗ねていたけれど、カスティール司教様やレト司教様に諭されておとなしく療養する事にしてくれた。完治するまでジークの許に通いたくて店長にお願いして始業時間を早めてもらった。店長もジークの事を心配してくれ、お店の花をいくつかお見舞いとして持たせてくれた。
いつかお礼をしないとね。
そうして数週間してジークの怪我も無事に完治し、教会からまた一緒に暮らすアパートへ戻ってきた。
ジークはあの日以来ちょっとした心配性が悪化している。私が無茶な行動をとらないか日々気にかけてくる。
心配してくれるのは良いんだけど、ちょっと過保護にも似ているような気がする。
その心配性も影響したのか、私達は少しずつ準備していた結婚式を挙げることになった。
ジークの仕事場である教会で、親しい人たちだけを集めて行うことにした。私の方からは両親と店長一家。ジークからは教会の親しい人たち。
ちなみにジークがよく面倒を見ていた孤児の子供たちが、私たちの結婚式でフラワーガールとウエディングドレスの裾を持ってくれるベールボーイをしてくれると立候補してくれ、当日にはとてもかわいらしい恰好をして準備してくれていた。
両親も急な結婚になってしまったけれど、とても喜んでくれた。
父に至っては泣いていて会話にならなかったけど。
「ソラティちゃん、準備できた?」
「シスタービビ、もう準備できてるわ。」
「ソラティ、すごくきれい。」
「シスターリリィもとてもかわいらしい恰好ですよ。」
シスターリリィはリングの交換の際にリングを持ってきてくれる役目があるため、白を基調としたかわいらしいワンピースを着ている。
カスティール司教様とシスタービビが一緒になって作ったらしい。
綺麗なレースに薄桃色の髪に映える青いバラの髪留めがとても似合っている。
シスタービビに手を引かれて聖堂の入り口に行くと、父がすでに準備して立っていてくれた。
相変わらず泣きそうになっている父に私は微笑んでシスタービビから渡されるように父の腕に掴まる。
「ソラティ、うう、結婚なんて早すぎる・・・・・・。」
「お父さん。私、幸せになるわ。」
「そうだな。彼なら幸せにしてくれるだろう。・・・・・・もし、辛いことがあったらいつでも帰ってきなさい。」
「ありがとう。」
そうして二人で微笑み合ってから、聖堂の扉が開くのを待った。
ゆっくりと開いた扉から聖堂の中を見ると、そこはいつも見ていた聖堂ではなく、結婚式のために綺麗に飾り付けられていた。
バージンロードには真っ白な花が飾り付けられ、子供たちがフラワーシャワーのかごを持って待っている。
父にひかれながらバージンロードを歩く。店長一家やレト司教様にシスタービビが手を振ってお祝いしてくれる。
そして、視線を前に移すとそこには真っ白なタキシードを着たジークが居て。綺麗な金髪と深い海を切り抜いたような青い瞳が真っ白なタキシードにとても映えていて似合っている。
ゆっくりと歩みを進め、ジークの許にたどり着くと、父からジークへと私の手が渡される。それにゆっくりとしたがって手をジークと重ねて、ジークと腕を組んでゆっくりと進む。
そして、宣誓の場まで行くと司教様がジークを見て小さくウィンクをした。その様子にジークが驚いたような表情で小さく声を漏らす。
「大司教・・・・・・。」
「え・・・・・・。」
ジークの言葉が本当なら、私たちの結婚式の宣誓に大司教様が立ちあってくださっているという事になる。
驚いていると、大司教様が小さな声で特別だよと言って誓いの儀式を始める。あまりの事に動揺しつつも、誓いを立てて指輪の交換も無事に終える。
そして、誓いのキスになり私とジークは向き合う。
ゆっくりとした動作でベールをあげてもらい、改めてジークと見つめ合う。
「綺麗だ。ソラティ。」
「ジークもとても素敵。」
「・・・・・・ずっと幸せにする。愛してる。」
そう言ってジークは私にそっと口付けた。
少しの間そうしていると、参加してくれた皆が拍手をしてくれた。
ゆっくりと顔を放して、私達は大司教様にお辞儀をしてからゆっくりと振り返り、一緒にバージンロードを歩いて皆から再びお祝いの言葉をもらった。
披露宴はガーデンパーティー式にして、孤児の子供達にも参加してもらえるようにした。
今日は晴天だったのが本当に運がよかったと思う。
今日のガーデンパーティーの会場の準備はレト司教様がしてくれたらしく、あちこちにデンファレの花が飾られているのが目に入った。
レト司教様からのメッセージを読み取った私は笑みがこぼれた。
デンファレの花言葉はお似合いの二人。




