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渡し愛  作者: 稲穂ぴす
16/16

12_胡蝶蘭

最期までお付き合いくださり、ありがとうございました!

良ければ↓にある★を押していただいて応援していただけたら嬉しいです!

「というのが、私達の出会いなのよ。」


 そう言いながら私はゆっくりと紅茶のカップを手に取る。

テーブルの向こうに座っている女の子は私の話を聞きながらイチゴののったケーキをほおばりながら目をキラキラさせている。


「すごーい!そんな出会いがあったのね!」

「ふふ、確かに司教様と出会うなんてめったにないことだと思うわ。」


 頷きながらケーキをほおばる女の子はジュースのコップを抱えておいしそうに飲んでいる。

私はそれを楽しそうに見つめて、窓の外を見つめる。あたたかな日差しが差し込み、外は晴天のようだ。ゆっくりと視線を幼い女の子に戻すと、女の子はまだイチゴのケーキと格闘している。

 どれくらいそうしていたのか分からないが、そうしていると女の子がすべて完食できたようで、ごちそうさまと元気な声をあげる。


「もうお腹いっぱい?」

「うん!とってもおいしかった!」

「ふふ、それは良かったわね。」


 椅子から降りて女の事手を繋ぐと一緒にお店を出る。

手を繋いで一緒に通りを歩いていく。以前よりも科学技術が発展し、この街もとても便利になった。今では車もバイクも空を飛んでいて、地上は歩行者天国のようになっている。そのため道のいたるところに露店が現れ、流行りのお菓子やグルメなどが並んでいる。

 女の子は先ほどケーキを食べたばかりだというのに露店の食べ物に再び目をきらきらさせている。


「駄目よ。そんなに食べたら。」

「えー、シルフィ食べたい!」

「シルフィ、夕ご飯食べられなくなっちゃうから、あと1個だけよ。」

「わかったわ!ちゃんと選んで決めるわ!」


 嬉しそうにあと1つだけと言いながら私から手を放して露店が集まっている場所へ走っていく。

それを温かく見守りながらゆっくりと歩みを進めてシルフィの許に向かっていく。嬉しそうなシルフィの姿はとてもかわいらしく、薄めの金髪に綺麗なエメラルド色の瞳。女の子らしく髪はハーフアップにしておしゃれをしている。

 必死にあと一つ何を食べるか悩んでいる姿を見つめていると、後ろから声をかけられる。


「ソラティ、遅れてしまってすまない。」

「いいえ。大丈夫ですよ。」


 優しく私の手を取って微笑んでくれるジークに私も同じように微笑み返す。

二人でシルフィを見つめながら微笑み合う。


「シルフィはとてもかわいらしいな。」

「ええ。とても天使みたいにかわいい。」

「天使か・・・・・・。それは言えてるな。」


 くすくすと二人で笑っていると、シルフィがやっと食べたいものを見つけたようで私の名前を呼んで露店を指差している。

手を振り返してジークとともに腕を組んで歩いていく。

 食べたいものはチキンサンドで。甘いものの次にしょっぱい物が食べたくなったらしい。シルフィに変わって代金を払って商品をシルフィに渡す。おいしそうにもぐもぐとほおばるシルフィの背を軽く押しながら私達はゆっくりと通りを抜けていく。

 ゆっくりと通りを歩きながら、家へと歩みを進めていく。


「ソラティ、家に着いたら受け取ってほしいものがあるんだ。」

「ふふ、楽しみにしておくね。」


 いつになく照れている様子のジークに微笑みながら通りを抜けると私達の家が見えてくる。

未だチキンサンドをほおばり続けているシルフィを連れて、玄関のカギをあけて中へ入るが、家の中は静かなままだ。


「あらやだ。早すぎたかしら。」

「そうかもしれないな。ほら、シルフィ。キッチンでジュースも飲みながらそのチキンサンド食べてしまいなさい。」

「はあい!」


 ジークに連れられてキッチンに行くシルフィを見ながら、上着を脱いでキッチンに向かうとジークに言われたとおりにちゃんと椅子に座って残り少なくなったチキンサンドを食べているシルフィがいる。


「シルフィ、少しここで待っていてくれるかい?」

「うん。」

「ジーク?」

「ソラティ、君に渡したいものがあるんだ。」


 そう言ってジークは私の手を引いて家の裏にある小さな温室へ案内してくれる。

ここに何があるんだろうと首をかしげていると、ジークは温室のカーテンを引いて開ける。


「ソラティ、どうか受け取ってくれないか。」

「まあ、なんて素敵な胡蝶蘭なの・・・・・・!」


 温室一面に咲き誇る胡蝶蘭に私は感動の声をあげてしまう。

とても綺麗なその花達に言葉が出てこない私を見てジークは私の手を引き寄せる。


「いつまでも一緒に生きていこう。」

「・・・・・・ええ。いつまでも。」


 ぎゅうっとジークに抱きしめられて胡蝶蘭の香りに目をつむって身をゆだねていると、家の方から声がする。


「どうやら帰ってきたようだな。」

「そのようね。」


 私とジークはそのまま抱き合ったまま家の方を見て微笑み合った。


「おじいちゃんとおばあちゃんに遊んでもらってありがとうは?シルフィ。」

「えへへ!一緒に遊んでくれてありがとう!ソラティおばあちゃん。ジークおじいちゃん。」


 私達の孫が息子と奥さんを引っ張ってきてお礼を伝えてくる声に私とジークは笑顔でどういたしましてと答えた。



胡蝶蘭の花言葉は貴方を愛しています。

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