第三話 お墓参り
蜂、栗、臼を連れ、浦島は墓苑を歩いていた。向かう先は、亡き組長の墓。竜宮城で収監されていた浦島は葬儀に立ち会えなかった。せめて早めに墓参りと三人が急かすので、出所後二日目でここに来た。やがて墓標の前に立ち、花を手向け手を合わせる。
「親父、会いにきました」
浦島としては正直なところ、亡き組長には恩より恨みが多い。決して立派な人間ではなかった。とはいえ多少の情はある。まあ、親子なんて、ヤクザじゃなくてもそんなもんだろう。ましてや血の繋がりは無いのだから。
蜂、栗、臼の三人も、神妙な面持ちで手を合わせている。浦島は故人を偲び、話を聞こうとした。
「姐さんもここに眠ってるんだっけな」
「……」
「二人とも病死だって聞いたぜ」
「……」
「親父、逝くときは穏やかだったか?」
「……」
「おい、なんとか言えよ」
蜂、栗、臼の様子がおかしい。実は竜宮城へ出迎えに来ていた時から、違和感を感じていた。こいつら、もっと陽気で能天気だったはずだ。年相応に落ち着いたのかと思っていたが、違うらしい。
何も答えない三人、最初に口を割ったのは栗だった。
「……違うんです、アニキ」
「なにがだ」
「……アニキ、これは黙っとこうとも思ったんですけど」
「いいから言ってみろ」
「……親父は殺されたんです」
「なに」
「……姐さんも……あいつらに」
「誰に、誰にだ、言ってみろ」
三人は言葉を詰まらせた。正直ヤクザなんて、多かれ少なかれ誰かの恨みを買っている。しかも薬物を主なシノギにしていた浦島の組は、誰が殺されても文句は言えない。
だが、組長の死にざまを語ろうとする彼らの態度は、そういった達観を擁していなかった。
「……親父は……猿組にだまし討ちされたんです」
「なんだと」
「……猿組の組長、あの狸に姐さんも……」




