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第十二話 お礼参り


 蜂、栗、臼を連れ、浦島は猿組事務所に向かっていた。狙う相手は、亡き組長の仇。出所後三日目でここに来た。やがて事務所の前に立ち、くわえ煙草でつぶやいた。


「親父、ケジメつけるぜ」



 たぬきが襲撃を知ったのは、事務所内の寝室だった。大きな衝撃音が鳴り響いたからだ。


 強引な勢力拡大を続けていた猿組の事務所は、報復を想定して堅固な設計で建築されている。襲撃に対し即応する部屋住みの組員も多数常駐し、狸組長も自宅を離れここで寝泊まりしていた。だがそんな組事務所を、真っ向から攻めるバカが来た。


 とはいえ正面入り口は、特注の鉄筋コンクリートと防弾仕様の鉄板扉。トラックやショベルカーが突入したところでビクともしない。


 それが今、米軍仕様の4連装携行式ロケットランチャー M202 から放たれた成形炸薬弾の一撃で粉砕された。その威力は700mmの鋼鉄を余裕で貫通し、コンクリートや鉄板の防壁など意味を成さない。続けて発射した焼夷ロケット弾で火の海と化した正面入り口を、まずは栗が突入する。


 続いて、短機関銃 American-180 を手にした蜂が突入、内部にいた猿組組員を射殺しながら前進。けたたましい射撃音は「Swarm of angry bees」(怒る蜂の群れ)と呼ばれるにふさわしいものであり、過剰とも言える弾丸が撒き散らされていく。


 立ち込める粉塵と、炎と火薬と、血の煙。


 圧倒的な火力。それを前にして正義も悪もない。無慈悲な死と、絶望だけが真実だ。ここに物語があるからこそ、復讐劇であり、悲劇であり、喜劇なのだ。そうでなければ、単なる災害だ。


 狸組長は、寝室から繋がる隠し通路で逃げようとした。しかし、襲撃の侵攻が早すぎて間に合わない。別動として屋上から突入したうすに取り押さえられ、その顔は浦島の靴底で踏みにじられている。


「……ねんねん、ころりよ、おころりよ」


 浦島は鼻歌を歌いながら、銃のスライドを引く。コルト・ガバメント、古くありきたりな自動拳銃だ。カシュ、ヂャキ。小気味よい音がしたから初弾装填。足元の狸は早口で弁明し、懇願する。


「まって、やめて、殺さないで、何でもするから、しますから」


 命乞いを聞くほどヒマじゃない。悲鳴を聞くのも趣味じゃない。とっとと終わらせよう、コイツと、俺と、有象無象の悪党どもの、社会にとって価値なき『にんきょう昔ばなし』を。


「……坊やは良い子だ、ねんねしな」



 バン。



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― 新着の感想 ―
【追々加】  ギャーーース!!!?  「まだだ! まだ終わらんよ!」はクワトロ大尉の台詞でした……ニワカヲタ全開なマネをさらしまして、お恥ずかしい限りに御座ります  m(_ _;)m  キオクがご…
あらまアッサリ  寝かしつけの為の物語りが昔ばなしのオリジン形態なればシメは子守唄になるワケでつぬ
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