交わらない願い
お待たせしました。最近ストレスのせいか白髪が増えました(T ^ T)
何故だ。何故、こんなにも邪魔が入る?
任務は果たしたのに、密偵の処理やら、道中の追い剥ぎの片付け…。門の見張りも多くて突破が困難だし。辿り着くまでに時間がかかりすぎている。いけない。このままじゃ…。
後戻りできなくなってしまう。
***
「領主様!どうか、考えを改めていただきたい!このままでは村が一つ消滅してしまいます!」
「領主様っ!この日の本に、災禍が降るかも知れぬ一大事でございます!」
「領主様!儀式さえ済めば、平らかな世界が戻るのです。どうか、どうか!」
…村の人たちの声だ。揉めているのだろうか?行かなくちゃ。多分、月が満ちるんだ。
「母上、少し失礼致します。」
母上は不思議そうに首を傾げた。
「あら、どこへ行くの?今はここから離れない方が良いと思うけれど…」
ごめんなさい。母上。私のことを今まで気にかけてくださりありがとうございました。何一つ返せず、申し訳ございません。そしてこれから嘘を吐くことをお許しください。
「忘れ物を取りに行って参ります。」
引き戸に手をかければ、母上が右手を挙げた。音もなく天井からケン坊と同じ仕事をしている二人が出てきた。それぞれ黒と白の動きやすそうな装束を身につけ、物騒に鈍色に光る変な形の物をいっぱいぶら下げている。母上の凍えるような声が部屋を満たした。
「黒、真白、護衛なさい。」
私は必死に頭を巡らせた。どうしたらいい?どうしたら止められる?…少々卑怯だけれどもこうしよう。
「母上。ご心配なさらずとも。実は忘れ物じゃなくて、その…。」
護衛されては困るの。私は帰らなきゃいけないから。お迎えが来ちゃったから。私だけ生きていくわけにはいかないの。もう何も失いたくないから。誰も悲しんで欲しくない。誰も痛い思いをしないで欲しい。誰も傷ついて欲しくない。みんな私の大事な人だから。…早くお母さんとお父さんに会いに行きたいから。
「あらあら。失礼。やっぱりいいわ。そうね…。2人とも見張りをお願いするわ。もし連れ去られそうになったら力づくでも助けなさい。」
彼らは無言で頷いた。どうしよう。今日は諦めて後日こっそり抜け出そうか。ううん。時間をかけちゃいけない。急がなきゃ。早く、早く…終わりにしないと。私は前を進み続けなきゃ。その先にみんなの幸せが待っているのなら…。
私一人いなくなるだけでみんなの命が助かるのなら。
読んでくださりありがとうございます♪




