表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
散る紅葉舞う紅葉  作者: 鴇羽ほたる
18/23

願う

この世の不条理

「紅葉…。」

 優しく頭を撫でてくださる、その仕草が、その大きな手が…お父さんに慰めてもらったときにそっくりで。…抑えられなくなって。


 醜い泣き声を上げて。


 淀んだ涙をぐちゃぐちゃに流して。


 いっぱい、いっぱい、彼の広くて温かい胸の中で泣いた。



 ***



「紅葉…。俺は正確には胸中を察することができない。まだ、失ったことがないから…だ。ただ…。出来る限り分かりたいと思う。理解したいと思っている。それから…紅葉が紅葉自身を責めることを御両親は望んでいないと思う。だから。責めないでくれ。一応、御兄弟は今、城に待機してもらっている。大丈夫だ。村から紅葉が出たのは皆を守るためだ。長老殿がそう、仰っていた。だから、大丈夫だ。」


 そこで彼は言葉を区切った。


 私は幼子に戻ったかと錯覚するほど、狂ったように泣き続けた。


 心遣いが嬉しくて。でもどうしても自分が許せなくて。どこかほっとしている私に嫌気がさす。二人はどう思っているのだろう。また話したい。話せない。会いたい。会えない。


 涙は止まらない。


 でも、このままでは、いや時すでに遅しだけど。


「くじゃくまるさま…かぜ…ひきっ…まふっ…っ…。」


 彼は明るく笑った。


「なんのこれしき。それに、俺はまだ風呂に入っていないから湯冷めの心配はない。気に病まないでくれ。好きでやっているのだから…。」


 鼓動が速くなった気がして。でも、こうしていると彼の心臓の音も聞こえてきて。生きているのだと実感する。


「紅葉、俺のことを幼名ではなく、『殿』と呼んではくれないか?…いやなら、別にそのままでも良いが…。」


 努めて、明るく。


「はい………殿…。」



 ***



 彼は私が泣き止むまで…すなわち眠るまで抱きしめたまま、頭を優しく撫で続けてくださった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ