アポロスとアルミス
「キンナム、本当に良かったのかい? まだ若いんだよ?」
アルミスが、アポロスに話しかける。
「おっと、今はその名前では呼ばないでくれ、アルミス……私はアポロスを殺った時から、もう覚悟を決めた身だ」
「しょうがない奴だね、あんたは」
「勇者候補は二人といらない。残念だが、タカシには、マクベスと同じようにここで終わってもらうしかない」
「でも、この兄さんは勇者にはならないって……」
「本人がそう思っていても、周りの奴らはそうは思わないだろう。そして、いつしか勇者に祭り上げられる事になる」
「用心深いんだね、あんた」
「生まれが違うだけで、不遇を受けるこの世界は変えなければならない。それが出来るのは、俺だけだ。だから……勇者は、俺でなければならない」
「あんたはスラムの出だからね」
「そうだな。俺はスラムで地獄を生き抜いてきた。そんな時、貴族のアポロスが俺の前に現れ、そんな俺を鼻で笑い、金貨をチラつかせ、あまつさえ奴隷にしようとした。そんなやつが、勇者候補だなんて、あってはならない」
「私もそんな勇者はお断りよ」
「姿をアポロスに似せ、本人になりすまし、ここまでやって来た。俺はもう先へ進むしかない。タカシには本当に悪いと思っている。勇敢な騎士だったと、皆に伝えておくさ」
「キンナム……。タカシちゃん、ごめんね。せめて痛みが無いように……」
俺の意識は、ここで途切れた。




