奇跡の泉
干からびの沼に大穴を開けた後、一週間が経った。
ついでに言うと、干からびの沼は今はその名で呼ばれてはいなかった。
──奇跡の泉──
人はそう呼ぶようになり、ちょっとした名所と化していた。
付近にいた村の住民が光を目にし、その後、恐る恐る沼に近付いたところ、泉を発見し、その泉を『奇跡の泉』と呼んだのがきっかけで、その名が浸透したそうだ。
まあ、俺達の仕業だってことがバレていないだけマシか……。
今日は、魔女討伐2日前だ。
俺達、魔女討伐のメンバーはギルド2階の広間に集まっていた。
アポロスは、爽やかで暑苦しい雰囲気を装い、テーブルに着いていた。
彼は、勇者になりたがっている一人の男だ。
この国で勇者になるという事は、勇者の権限を得る代わりに、自由を奪われるという事らしい。俺みたいな半端者には到底無理な話だ。
アポロスは、全員を席に着かせ、話し始めた。
「今日は、集まってくれてありがとう。私の右隣にいるのが魔法使いの『アルミス』だ」
隣に座っていた化粧の濃い魔法使いが立ち上がり、答えた。
「よろしくね」
「そして左隣にいるのが僧侶の『パイストス』だ」
背の低い正装の男が立ち上がり、答えた。
「よろしく頼む」
「魔法使いと遠距離系はアルミスに、戦士僧侶系はパイストスの指揮下に入ってもらう事になる。何か質問は?」
アポロスの目は鋭くなった。




