第11話 装備の調達
俺たちは、獣車から降り、ミツユスキーの家にお邪魔した。
「あら、いらっしゃい。今日は大勢ね?」
出迎えたのはミツユスキーの妻だ。しかも、流れるような金髪ロングヘアの綺麗な若妻だ!なんでこんな小太りハゲにこんな綺麗な奥さんがいるのかが不思議でならない。
「今度は、この方達に薬を取ってきてもらうんだよ。ほら、挨拶して」
ミツユスキーの妻は、頭を下げた。
「ありがとうございます、娘のために……でも、あまり無理はしないでくださいね……」
──娘?
「ミツユスキー、娘って何?……」
俺は、ミツユスキーに質問した。
「あまりお見せしたくはないのですが……」
ミツユスキーは、奥の部屋の扉をゆっくりと開けた。そこには車椅子に座り、シーツを体にかけた少女がいた。
「娘の、ミーシャです」
母親似の美少女だった。その少女は、うつろな目でこちらを眺めていた。
ミツユスキーは、少女にかかっていたシーツを外す。そこで俺が目にしたのは、腕と足が石化した、少女の姿だった。
ミツユスキーは暗い表情で語り始める。
「魔法では治すことができず、頼れるのは賢者の薬だけということなのです。これまで、様々な冒険者が任務を受けました。しかし、達成した方は誰もおらず……娘は生きる希望を失う始末でした」
「ってことは、賢者の出す難問は、相当難易度が高いって事なのか」
「我々には、達成してくれる冒険者を待つことしか……」
なんだか、重い話を聞いてしまった。こうなっては、必ずこの任務を達成しなくてはいけない。そんなプレッシャーを感じ始めていた。
今回、任務にいくのは、俺とメイデンとファリスの3人だ。もちろん、ミツユスキーは商人で冒険者登録はしていない。戦力外なので今回は待機することになる。そのかわり、俺たちのために、補給だけでもと装備を用意してくれたようだ。
俺たちは、ミツユスキーに家の倉庫へと案内された。倉庫は一軒家並みに大きく、様々な武器や防具が置かれていた。さすがは商人といったところか。
メイデンとファリスは大喜びで我先にと倉庫の中へ入った。俺も、その後に続く。そういれば、俺は霊剣ファントムを持っている。特に武器は必要なさそうだ。だが、やはり防具は必要だ。
「俺は武器あるからさ、防具があればいいよ。なにかおすすめはないか?」俺はミツユスキーに尋ねた。
「かしこまりました」そう言うと、ミツユスキーは、倉庫の棚にあった鎧を運び、目の前へと運んできた。
「この『空竜の鎧』はいかがですか?」
その鎧は、青く輝く軽装の鎧だった。俺は、その鎧を試着した。
──思ったより、軽い。
「これ、すごく軽いけど、強度はどうなんだ?」
「空竜の鱗を使用しているので、強度は抜群ですよ」
「そうか……よし、これ、使わせてもらうよ」
「はい、お役に立ててください」
俺は、思ったより動きやすいこの鎧を装備することにした。
ファリスは、奥の武器庫で、以前の武器の大きさほどではないが、大剣を握り、その剣を吟味していた。
「これ、よさそうっスね」
ミツユスキーは、ファリスに話しかける。
「それは、エクスカリ……」
「何! エクスカリバーだって!」
「……バーの、レプリカです」
「びっくりしたぁ……こんな所で目にするはずねえもんな」
「ただし、能力は同じですよ、耐久力は低いですが……」
ファリスは、その剣が気に入ったようだ。
メイデンも、見つけてきた武器を持って、嬉しそうに喜んでいた。
「魔法のステッキ、見つけた」
メイデンが持っていたのは、鉄の棒の先にトゲトゲの鉄球のついた鈍器だった。
「それは、モルゲルステルンといいまして……」
「素敵なステッキです、タカシ様」
メイデンは、嬉しそうに武器を見せにきた。その笑顔を壊したくないと思った俺は、仕方なく「きっと、メイデン専用の武器だよ」と、ため息混じりに答えた。
──彼女ぐらいの魔法使いなら使いこなせるだろう、別の意味で……。
とにかく、これでリザードドラゴン討伐の準備は整った。俺たちは、ミツユスキーに譲り受けた武器と、簡単な食料を持ち、獣車に乗り込んだ。
「じゃあ、行ってくる」
「お気をつけて、ご主人様」
軽く挨拶をし、俺たちはミツユスキーの家を後にした。




