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vol.28(3)
ひとしきり波に遊んだ後、膝を並べ、手の平に砂を感じ、そして互いを感じ合って、
浜に寄り添い座るカンナとゆうな。
ふたりのずうっと頭上を羽ばたきもせず、風を捉え、ゆうっくり舞い踊る一羽のカモメ。
時間が空をすべり、流れ流されてゆく。
ゆうなはそこに、まるでバスタブに寝そべるかのような心地で、身を沈め浮かべて遊ぶ。
私には今、耳を塞ぐと、聞こてくる風がある。
私には今、目を塞いでこそ、見えてくる風があった。
キーツ・キーッと、冬の始まりの空気をすり抜けるカモメの物寂しげなすすり鳴きが私に届く。
遠くにいて、近くに感じる彼女の目が私の目となって、わたしとカンナを捉えていた。
カンナ・・・わかってる?
向き合わなくても、思い浮かべることのできることってあるんだよ。
いくつものあなたの笑顔・・、泣き顔・・、あたなだけのしぐさ・・
目に見えることなんて、ほんの一部
今の私には、心の眼があるの。
大切なひとが、しっかり見えるんだよ。
カンナ・・・
あなたの目には、私はどう映っているの?
愛・・情かなぁ、、それとも・・
ゆうなは、言葉にならない声をカモメに託し、仰ぎ見た。
風に任せ大空をくるりくるり旋回し続ける、その静かで穏やかな彼女の姿を、
どことなく自分と擬えてしまう。
そこはかとない孤独とそれをむしろ楽しむ秘めた笑みが湛えていた。




