5 魔法について学ぼうとしたらぶっ壊されたのですが その2
「ここは?」
「ああ、ターミナルの近くだね」
「こんな移動方法があるなら、最初もそれでよかった気がしますが…?」
「見られちゃうとちょっとね。あんまりよくないかな」
なるほど?犯罪に使えたりしちゃうからとかかな?
ちょっと国民的なアニメのお風呂シーンを思い出した。
「そう言えば、空を飛んでる人もいないですね」
「・・・あれもね、できる人は今はそんないないかな~」
この人もしかしてかなりすごい人なんじゃ?
「じゃあちょっと行こうか」
色々考えながらついていくと見覚えのある場所に来た。
「ここがゲートのターミナル。アレがゲートね」
と言って師匠が指したのが、例の光る輪であった。
今だからわかるが、あの光は魔力を流している時の光だな。
「仕組みとしては魔道具にさっきのような座標と座標をつないで移動できるようにしたものだね」
おお、最初の時に駅みたいと思ったのは間違いなかった!
「ここは一つだけだけど、繋がっている先では、色んな場所へのゲートがあるから世界各国へ飛べるんだよ」
「えっそれはすごい!」
電車の駅のイメージだったけど。(それでも電車と比べて瞬間的に移動するからすごいけど!)元の世界で言うところの飛行場までも兼ねてるってことか!
「ん?でもそうなると?師匠の魔法の説明を考えると、コスト的なものはどうやってクリアしてるんだろ」
「あっそれ気付いちゃう?」
「まずかったですかね」
「ちょいちょい」
そう言うと師匠は手招きをして隅っこの人が少ないあたりに誘導した。
そして辺りを見回すと、両手の親指と人差し指のL字を合わせて長方形にして、目の前に持ってくる。
そこに別の場所の映像が映し出される。
風景的におそらくあのゲートの光る輪の地下辺りだと思うが、そこに体を発光させて魔力を流し込む(であってるかな?)疲弊した人々が…。
「こうやってね、人を燃料にして無理矢理起動してるのよ」
ちょっと神妙な感じで師匠は言った。
なんか昔の漫画とかの、メリーゴーランドの地下で囚人がバーを持ってグルグルと回り続けるみたいな映像が頭に浮かんだ。
「まぁ一応、それなりにお給金はもらってると思うんだけど。どうかな」
ブラック企業…!!
「あとは、あのゲート自体ね、もう作れない…というか新規で作れる人がいないが正解かな。だから燃費が悪かろうが使い続けるしかなくてねー」
「オーパーツ的な?」
「その言葉は知らないけど、多分そうかな。ほら、さっき古代魔法って話したじゃん?」
「分類の話でしたっけ?」
「それそれ。最初の火魔法の、燃える素材を準備、発火点まで体内エネルギーを使用して上昇、燃料の随時投入みたいなやつね。これって魔術になるのね?」
「つまり魔法とは違うってことですか?」
「端的に言えばそう。それと比較して魔法は、魔力そのものを使って火を作る。他にもこの世界の都合とうまく合わせられれば、水で消えない火とかも作れたりする」
「すごい!」
「でもね、古代のって言ったのは、今、これができる人はかなり少ないんだよ」
「便利そうですけどねぇ」
「いやいや、あの火炎瓶の話みたいに、割に合わないくらい複雑になるし、魔力の消費も半端ないし、だったらあるもの使った方が全然良いのさ。だから今は魔法って言うと古代分類では魔術と魔法両方含む感じで。ま、強いて言うならわかってる人は真の魔法とかいう呼び方してるかな」
「えーと、古代:魔法→現在:真の魔法。古代:魔術→現在:魔法みたいな?」
「学校ができたことで最短の魔術のルートが体系化されて、それが便利なものだからねぇ。使われなくなれば言葉も変わるよ」
「なるほどそういう流れが…ああ、それであのゲートも作れないと?」
「そうそう真の魔法ってだけじゃなく、あれだけ莫大なエネルギーを維持できる機構ということまで含めると、現代ではもう作れない」
・・・この人、さっき移動に使っていたんじゃ?
「む、ちょっと移動しようか」
「あ、はい」
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「ちょっと視線を集めていたからさ、ごめんねぇ、もっとみたかった?」
「いえ、あんまりいい思い出ないので」
「というと?」
「あそこから最初出てきたっぽいんですよね」
「ふぅん、そうなんだね」
「で、また入ったら戻れるかなって思ったんですけど、お金が無かったから戻れなくて」
「あらら。じゃあ・・・かわいそうな七太郎にお姉さんが奢ってしんぜよう」
お姉さん?実際は分からないけど見た目からするとお姉さんぶりたい妹的な…?
いかん属性がわけわからなくて混乱する!
そうして師匠に連れていかれたのは…自動販売機!
「これはね、全自動販売機っていう魔道具で…」
「あ、知ってます」
手を上げながら言う。
「そうなんだ?じゃあ魔力認証は?君は魔力ないじゃん?」
「魔力…認証?いえ、買えなかったので」
貨幣が違うとかそういう問題じゃなかったのか…!
「そうだよねぇ、いつのまにか認証が必要なくなったのかとびっくりしちゃったよ」
「でも自動販売機自体は元いた世界にもありましたよ」
「ほ~。やっぱり便利さを追求すると似たような発想になるのかな。電気?」
「電気ですね」
「電気って良いのかな、ちょっと勉強してみようかな?ちなみにその自動販売機の防犯システムは?」
「いやぁ分からないですが多分無いかと?あ、だから魔力を流す認証?」
「無いの!?いや、実際は魔道具を起動するための魔力が必要だからっていうのが先なはずだよ。その副産物的な感じかな認証は」
「なるほど。そうそう自分のいた国では比較的治安が良かったのであまり壊されたりとかなかったけど、外国ではすぐに破壊の対象で撤去されるまでが定番の流れって聞いたことが」
「まぁなにもしないとそうなるよねぇ」
「あ、でも災害の際は自動でお金なくても使えるとか聞いたことがあります!」
「なにそれすごい!
おっと、本筋から外れるところだった。どれにする?」
「えっと…」
日本の自動販売機とは違い、一つの自動販売機に一つの飲み物が売られている感じである。
これとか、ミカンが大量に詰められて、その場で絞っているのかな?
「じゃあ、このミカンのやつで」
「オッケー」
ハラ師匠はどこかに手を突っ込んでお金を探っている。
ん?という顔をしている。
見たことのない真剣な顔になった。
そして首をかしげながら…
「ちょっと大きいのしかなかったけど使えるかな」
と言うとそのお金を入れようとするが。
「は、入らない…!」
こないだの500円玉と同じパターンである。
「こうなったら投入口を広げて…」
師匠の体が光りだす。
「ちょーっとまってまって!ほら!防犯システムもあるんでしょ!?」
「わからないようにうまーくやるからさ」
「そういう問題じゃないからっ、あっちなみに大きいのっていくらくらい??」
光が治まった…。良かったセーフ…。
「えーと、こちらの世界のレートは分かる?」
首を横に振る。
「パン一個が大体¥100ね」
よく聞き取れなかったけど、円ではなかった。
「で、このちょっと大きいお金が、えーと¥1、000、000の金貨」
「えっ…」
「これしかなくて崩してなくって。まぁまた稼げばいいだけだし?」
そう言うと再び体が光りだす。
「やめて!飲み物一つのためにそんな大きいお金使うのやめて!」
七太郎が必死に師匠から全自動販売機を守ることで何とか収まった。
二人で公園のベンチに座りながらミカンジュースを飲む。
「ごめんねぇ、なんだかうまくいかなくてねぇ。こうして弟子を取るのも初めてだし」
「押しかけたのはこちらですから。それにそんなに張り切らなくても色々助けられましたから。ご飯もおいしいし」
「そう、それはよかった。・・・今回分かったけど、人にご飯を食べさすというのもいいもんだねぇ」
あの時と同じくここの空は電線もビルもなく広かったが、今日は少し狭く感じた。
「じゃあ家に帰りましょう。そしておいしいご飯をお願いします」
「うん」
師匠はこちらの目の前でしゃがんで後ろに手を構えた。
「あ、あの…?」
「早く」
…気付いた時には部屋に寝ていたことは言うまでもない。




