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魔法文明論  作者: ゼリー
一章 空の広さと
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4 よくある修行のシーンらしいですよ

「はっ!?」


 起き上がる。ああ、そうだったハラ師匠の家に連れてきてもらったんだった。

 しっかり寝たと思うんだけど途中で悪夢を見た気がする。こちらの世界に来てからずっと休めていなかったからどうにも疲れがたまっているのか、それともアレかな?明日から修業を行うと言われたからそれで妙に緊張しているのだろうか。

 

 …まぁなにしろ今日は全人類(元の世界の)垂涎の魔法の修行だから、そりゃあドキドキするのも仕方がない。

 昨日はすぐ寝れたけども。


「起きたかな?」

「あ、おはようございます!」

「おはよう、ご飯食べたら早速行こうか」

「はい!」


-----


 山の中にある家から出て少し歩くと、荒野と呼べるような場所に着いた。…昨日は風圧だなんだので気絶していたからこんな人里離れた場所なのかと思った。それよりもさっきから気になることが…。


「師匠、その服装は…?」

「ああ、せっかくだからそれっぽいのがいいと思って」


 上下ジャージにポニーテール。そして竹刀!まるで体育教師である。ただし少女。

全く魔法のイメージと違うんだけれど。


「誰かに何かを教えるなんてあんましたことが無いからさ~、君の、七太郎の記憶からイメージ抜き取っちゃった、ごめんね」

「あっ」


 今朝のアレはそういうことだったのか…。


「じゃあ、まずは」


 ワクワク


「走り込みからかな。そこの岩山を軽く一周してみようか」

「えっ」


 走り込み?魔法に何か関係があるのだろうか…。しかも軽く一周って言ったけど奥の方まで見えないんだけど一周って一周?

 そんなに体力に自信が無いけども大丈夫かな?


「大丈夫」


 うんうんと頷きハラ師匠は言った。いや、どういう大丈夫か分からないよ?


「師匠は?」

「私?私は走らないで飛んでいくよ?体力あるように見える?」


 だからこそ、なんで走るのかって話なんだけれども。

 まぁそんな文句ばかり言って見限られたらそれこそ終了だし、とりあえず走りだそう!



-----



 一時間後。


「ひ、膝が…」


 膝の周りの筋肉が無くなってしまったかのように、地面からの膝上膝下の骨同士がぶつかり合ってるような痛みが走る。

走れずたまらず歩き出す。


「あらあら、足が痛いかな。これでどう?」


 師匠の手の周りが光り、こちらへその魔法を飛ばす。


「おお、膝の痛みが無くなった!?」


 それだけじゃなく、疲労も取れたような?


「がんばれ~」


 竹刀をペチペチしながら応援される。




 四時間後。


「お、お腹空いた…」

「ほい」


 師匠の手が光り、どこからかパンや果物を取り出しこちらの顔の前の宙に浮かす。飲み物もあるよ。

 もちろん何十分か一時間毎かに先ほどの疲労回復の魔法も使われている。これなんて贅沢なランニング?



 …十二時間後。


 疲労で疲れるそばから魔法で強制的に回復させられ、

エネルギー切れを起こしたら走りながら水分、栄養補給をさせられる。

 これって何という拷問ですか?


 一つ分かったことがある。人々が走り続けられないのは、

体力や疲労もあるが、それよりも精神の休息も理由の一つなんじゃないかと思った。



 そして十五時間後…。


「はぁ…はぁ…」


 疲れている風を見せているが実際は体力には余裕があるので、ただただラストスパートをしたことによる息荒れである。

 終わりが見えてくるとテンションも上がるもので、最後の方は結構いい感じに走れたのではないだろうか。

 心なしか最初の方より早く楽に走れていて、魔法を飛ばされる感覚も長くなっていたような気もする。いやいや、ちょっと待て。マラソン選手になるために弟子入りをお願いしたわけではないぞ?


「師匠、あの、このトレーニングには何の意味が…?」

「ああ、君は気にしなくて大丈夫。私についてくれば大丈夫」


 全然信ぴょう性ないんですけど!


「昨日の空を飛んだり、どこかからものを取り出したりする魔法とかはどうやってやるんでしょうか…?」

「アレはそこそこ難しいんだよー。最初にやるなら…、よし、じゃあこのまま座学にしようか」


 そう言うとどこかからかクッションを取り出してこっちに投げた。

 昨日のとは違い、ちょっと固めのやつだ。


「ああ、あの異次元の柔らかさクッションだと眠くなる可能性もあるからね、今日は勉強に最適なやつさ」


 昨今の電車に採用されているくらいの固さである。


「さて、あのね、まず魔法っていうのは体力がいるんだよ。ざっとの説明だけど小さいエネルギー量の魔法なら少しで済むけど、大きめの魔法を使おうと思ったらおっきいエネルギーがいるわけ、分かる?」


 うんうん、と頷く。


「正確には魔力の運搬能力と魔力を通す管を広げたり強めたりする目的と、身体のエネルギーを使用して可能性を広げるっていう感じなんだけど、ちょっとまだややこしいと思うからそれは憶えなくていいや」


 ちょっといまいちわからなかった。

 それが伝わったのか、


「例えばなんだけど魔法で水を温めようとすると、アプローチは色々あるからそのうちの一つの例ね?

自分の体温保持のためのエネルギーをそっちに回す、すると水をお湯にできる。つまり体力(エネルギー)を多く持っていると有利なわけね」

「え、それって精神力とかMPとかじゃないんですか?」

「MPっていうのはごめんちょっとわからないけども」


 魔法世界だけどMPは無いんだ…。


「で、それは体のエネルギーを使う話ね?

精神力の話をすれば、魔法を構築する技術のための集中力」

「集中力!精密な作業をする感じですか?」

「そうそうそのイメージであってるよ。

でもね集中の持続って結局体力依存だからさー、やっぱり体力があればあるだけその状態をキープできるね。あ、でも好きという感情で本来の体力を超えて集中の持続をできたりとか、あとは実践が知識を超えることもある」

「それってどういうことですか?」

「そうだなぁ…。理屈は分からないけどなんかやっていく内にできた!とかそういう経験はないかな?」


 自転車…?かな


「まぁでも、一番大事なのは土台であって、まず基本だからさ。体力トレーニングは大事だよ」

「そういうことならわかりました」


 うんうんと師匠は頷く。


「じゃあご飯にしよっか」

「ご飯!…なんかタダ飯食らいですみません」

「いいんだよ。体力づくりとご飯はセットだから」


-----



 出されたご飯は超大盛だった…。どこかのお店の富士山盛りをほうふつとさせた…。

 味はめちゃめちゃおいしかったけれども!やっぱり師匠はどこぞの流浪の料理人か?


「やだなーそんなんじゃないよ。でも食事を味わうのは楽しみだから力を入れてるのは確かだよ」


 そう言っている師匠のご飯は元の世界の一般人と比べても少ないくらいなんだけども。


「料理も魔法で済ませちゃわないんですね」

「いやいや、逆にめんどくさいからね!包丁を遠隔操作したり、かまいたちで野菜を正確に切るのは大変だよ!?混ぜるのも手でやった方が早いし!」


 なるほど…。


 修行初日は魔法とは不便である。ということを教わったことで夜も更けていった。

 お腹が爆発しそうなくらいパンパンでなかなか寝られなかった。仰向けじゃないと寝られない派なんですよ。

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