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魔法文明論  作者: ゼリー
二章 純水と宝石と闘争の日々
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27 新人戦が終わりました


四回戦目、七太郎あっけなく負ける


「お前、さっき次も勝てよって約束したのにっ!」

「いや~ごめん!空気的に言いづらかったけどカガミとの一戦で魔力切れで」

「ああそう言われちゃあ仕方ねぇなぁ、まっある意味こっちの作戦が成功したとも言えるしな。そんじゃまマリを応援するか!」

「応援がなくても精一杯やるだけですわよ?」


 そう言いつつちょっと嬉しそうなのがマリクオリティだな。


 おや?

 隣の席にちょこんと地面に足のつかない人が座る。


「先生」

「疲れたから、他の教員に任せた」

「なるほど」

「先生もマリを応援しようぜ!」

「カガミさん流石にそれは…」

「・・・」


 アオちゃん先生がカガミをじいっと見ると、プイっとそっぽ向いた。


「カガミ嫌われてるの?」

「前に高い高いしたら魔法弾連射されたぞ」

「ああ…」


 それは嫌われてもしょうがないぞ。


「教師は生徒一人をひいきで応援しない」

「それはもちろんそうで…

「だが期待はしている」

「・・・はい!」


 ざわ


「お、さっきのロウだな」

 周りの人がロウを避けて歩く。やっぱりあの一戦を見た後じゃ近づきたくない気持ちもわかる。


「ふっくらしたままですけれど、今度はどうやって戦うんでしょう」


 開始の合図。


 ロウは先ほどと同様に両手に魔力を集める。


「同じ戦法なのかな?」

「確かに体力を奪うのは強烈だもんな!」

「でも相手の先輩の女性もそれを警戒してますわよ!」


 魔法弾や地面から岩が飛び出て動きを邪魔していく。

 しかしそれをひょいっと避けていく。


「あの体格で動きが鈍るわけではないんだな!やるぜ!」

「自分の魔法を把握するのは当然だ。普段からどちらの身体でもトレーニングしているんだろう」

 なるほどアオちゃん先生の言う通り、確かに戦法ありきならその訓練は必要だな。

 先輩はロウにかわされても逃げつつ打ち続ける。

 動きつつ集中を維持しているのは流石だ。しかし少しずつ近づかれていき段々と焦りも見えてくる。


 そして、ロウが触れ…ない!

 女性の先輩の上半身全体から氷柱が一斉に飛び出た!

 それを狙って避けたロウは足首を掴む


 今度はロウが痩せていき…

 相手の女性が太っていく!


「いやああああああああああああ!!」


「棄権の為、勝者、ロウ!」




「…怖ろしい魔法ですわね」

 マリがマジの真顔だ…。

「だな」

「しかしどうやってるんだろ」

「あれはだな」

「うわっ先生いたの忘れてた!」

 ・・・ご立腹な表情だ。もう目線だけで分かるぞ!


「通常は相手の体内の魔力には干渉できないだろう?」

「そうですわね」

「ただ外に出てしまえば、より強い魔力で相手の制御を奪うこともできる」

「ふむふむ」

「それを前提として、触った部位=自分と相手の境界、そこを制圧することで自己を広げ、相手を狭くすることができる。それを繰り返し干渉できる空間を増やす。結果、相手の体内と自分をつなげ、エネルギーの行き来を操ることができるというわけである」


 なるほど、陣地取りゲームの要領みたいなものか


「先生、それ言っちゃって大丈夫なんすか?」


 確かにカガミの言うことはもっともだ。

 相手を知ることそのものが本人の対策に行きついてしまう。


「構わない。それが分かったところで対処の仕方が変わるわけでもなし、かと言って真似をできるような芸当ではないのだから。大体こちらが言わずとも、お前たちはある程度理解していただろう?」

「なるほど確かに…」


 向こうでロウが女性に謝って、またエネルギーを吸い取っている。

 あ、もっと私痩せてたとか言ってさらに吸わせている。いやそんなこと無かったよ?


「これから女子生徒に詰め寄られることが増えるんじゃないかと心配ですわ」

「マリは頼まないのか?」

「わたくしはわたくしが作り上げたこの肉体が好きですわよ?」

 マリがちょっと艶のあるポーズを決める。

 こういうことを自然にやられるとドキッとしてしまう。目に毒だ。


「3人で訓練して鍛え上げた絆の証でもありますものね。では行ってまいりますわ」

 マリは颯爽とここを離れる。


「サラッと青臭いことを言う。若い」

 先生に言われたらマリはもう精神年齢赤ちゃんだよ…。


-----

-----




 最終的にマリは準優勝まで行った。


「すごかったね、準優勝だよ!」

「でもやっぱり優勝を逃したのは悔しいですわ」

「相手は先輩だし仕方ねぇさ」

「二年の主席って聞いたけど、流石に自分から見ても強いのが分かったよ」

「そうですわね、まず最初の炎の陣で大気中の水分を減らされたのが痛手でしたわ」

「その後も土壁でガードしているのかと思いきや、実は目くらましで土中を移動して後ろから出てくるとかびっくりした!」

「考えてもやらないよな!」

「そうだね。今までの対戦でもあの人使ってなかったしね」

「それはこちらが水使いで、尚且つ運用量を最初に減らしたからこそ積極的に使ってきた戦法かもしれませんわ」

「それってどういうこと?」

「例えばナサカさんみたいに水フィールドを張りますとモグラ作戦は下手すると溺れてしまう危険性もあるかと…。水を節約しなければならない状況ではそんなことできませんしね」

「なるほど、戦闘の流れをイメージして作戦を徹底的に立ててきたんだね」

「ぎりぎりで後ろに何とか気付けましたが、急きょ撃った水球も風魔法で逸らされましたし…。やはりオールラウンダーは安定して戦えますわね」

「大丈夫大丈夫、もし次があれば多分勝てるよ!」

「そうですわね、もっと修練していきたいですわね!」

「おーし、また特訓頑張るぜー!」

「「おー!」」

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