23 サワさんとの対戦ですわよ
いよいよ今日は新人戦だ!
えーと張り出された要項を読む。
学会と同じく魔道具は一つまで。学会ってそうなんだ?
というか戦闘用の魔道具とかあるんだ?今度誰かに教えてもらおうかな。
あと前に話は聞いたけど、新人戦は一、二年生だけ出るみたい。三年生は出ないんだな。ああ、順位戦が就職に関わるとか言ってたから、ケガも困るし、そっちに集中する感じなんだねきっと。
あとはトーナメント表だけど…。
自分の一回戦はBクラスの知らない人で、カガミは二年生とだ。いきなり上級生とだけど頑張ってほしい。
こっちもできるだけ頑張ろう!
でもやっぱり一番気になるのが…。
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「あら、サワさんいらしたのね?」
「ウォーターカッター(笑)さんこそ、こないだみたいに水をたっくさん引き連れてこないで大丈夫なのかなぁ?」
「フフッ、それで私を煽ったつもりで?」
マリすっごい悪い顔してる…。
「つまりこういうことですわよ、貴方ごときに必要ない。と」
「フンッ、あとで後悔しても知らないからね!」
あ~あ~始まる前からやってるやってる…。マリ今日は勝負スカートじゃないんだなー。
SSSSS
(サワ視点)
ギリギリギリ
歯ぎしりをする。この魔法学院に入ってからついつい癖になっている。
Aクラスに入学できたとはいえ下位だし、周りを見ていても魔法が上手くないことを嫌でも実感させられる。
…ここに来るまでは優秀だともてはやされていたのに。
そんな中、主席入学を果たしたのは私と同じ女性だという。男性の方が優位だと一般的にされているのにも関わらずだ!どうしても目が行ってしまう、気になって気になって仕方がない!悔しい!
また成績が将来の仕事にも影響すると思うと、焦る気持ちも強くなる。
当然上に行けば行くほどより良い仕事につけるだろう。そんなに人を蹴落とすのが悪いことなのか?
人と成績で争う以上それは正しいに決まっている!
こないだの決闘だって、相手は大して魔法なんて使ってなかったのに一言でマリは総崩れだった。
彼女だって私と同じように今までもてはやされていたに違いない!メンタルを一度崩せばこちらのモノだ、何だってやってやるよ!
先生が競技場の周りを結界で囲う。
「始め!」
「主席さんはぁ、こんなの簡単に避けられるよね~?でろっ『礫ぇ』!」
地面から小さな石を数個取り出し、マリに向かって放つ!
「ふん」
マリは大気中から水を集めるとすべての礫にあて、石の勢いを殺す。
「想定内想定内!『飛び出ろ』」
マリの足元から30センチほどの岩が飛び出る。それをなんなくかわされる。
「あなた、この程度でわたくしを倒そうだなんて思っていませんわよね?」
「もちろん思っちゃいないよ『礫』いーっぱい!」
小さな石が数え切れないほどいっぱい飛び出てマリを襲う。
「ふぅん?」
マリが右腕を光らせ、手を掲げると、大量の水が辺りから集まってくる。
それをまとめて出すのかと思いきや、
「え”っ?」
礫一粒一粒に向かって同じ大きさほどを射出、叩き落としていく。
「これくらい造作もないことよ?」
ギリギリギリ
こうなれば!
「『黒曜』」
「んん?」
マリは初めてこちらの攻撃をよける「キャッ」、がその先の岩につまづく。
「っちゃーんす!いっけー私の『黒曜』」
尖った形状の深く黒い石が倒れたマリに向かって放たれる。
「フッ甘い甘い」
ッキンキンキンキンキンキン
「『氷球』」氷の球が全て黒曜を弾き飛ばす。
優雅にスカートをはたいてマリは立ち上がる。
「チャンスかと思ったのかしら?貴女がフィールド全体に岩を飛び出させたのは百も承知ですわよ?わたくしの演技に気付かないなんて・・・あら?案外女優の才能でもあるのかしらね」
マリはわざとらしく自らのあごに人差し指をあてる。
ギリギリギリィッ!!
「まだ何戦もありますしそろそろ決めましょうか『氷球』」
先ほど集めた水から氷の球をいっぱい飛び出させ、こちらを襲う…。
ガンガンガンガンガンガンガンガガンガンガンガンガガン
「あら、そんな隠し玉持ってらしたの?」
「ふふ、はっはっはっはっは。そうだよ私の『鉄板』は破れない!あんたのウォーターカッターだって簡単には通すものか!」
完全防備態勢で相手を煽る。
こないだのウォーターカッターを見てわかってるんだ!アレには前後に集中が必要だってこと!
さっきの売り言葉で使って来るに違いない、その隙に私の黒曜をぶち叩き込んでやる!
「ふむ、そうですわね。では」
マリはこちらの動きをじっと見つつ両手を掲げ、胸のあたりから手に向かって光が集まる。
「『深海』」
「あんっ?」
ウォーターカッターじゃない?
手の先じゃなく、私の真上に黒。というより闇のように暗い水球が現れ、落ちてくる。
「重力程度の勢いじゃ、わたしの鉄板は破れな…」
ドスン
「な、に、ただのみずじゃ…」
落ちてきた球がサワを鉄板ごとゆっくり潰してゆく
「な、んで、こ、、んあああ”””があああああっっっっっ!」
パァンッ
水球がはじけ飛ぶ。
「決着はついた」
「がっはぁっはぁっはぁっ…う”っ…」
痛い、痛いっ…、水に触れた部分の鉄板が曲がり、その下にあった腕まで少し曲がっている。
いたいいたいいたい自分の意思に関わらず涙が出てくる。
「先生、止めてくださって感謝いたしますわ、でないとサワさんを取り返しのつかないほど体を壊してしまうところでしたわ」
悠々と先生にお辞儀をし、こちらに近づいてくる
「ひっっっ、ひぃいいいいいいいっっっ!?」
「…そんなに怯えなくてもよろしくてよ?」
「こんなっこんなひどいいいいいいっっぅぅう」
「あらあら、わたくしを悪女みたいに」
「せ”っがぐ…せっがぐ対策をかんがえだのにぃぃいぃいうお”お”お”んん!」
人目も気にせず大泣きをする。
「ふぅん…貴女は…いったい何を目指してますの?」
「ふぇぇ…」
「もし学会でしたらあらゆる相手に対応しなくてはなりません。他の仕事でも一つのことだけでは役には立ちませんことよ。…そのハンデを超えるほど特化してれば別ですけれど、これじゃあ、ねぇ?わたくしごときの対策程度じゃ児戯にも等しいですわ」
「・・・」
曲がった鉄板の端を握り締める…。
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NNNNN
(七太郎視点)
「お疲れマリ」
「お粗末様でした」
「ちょっとひどかったんじゃないか?」
「いいえ、この学院に入ったからにはそれなりの覚悟を持ってもらわないと。へらへらしてるようではダメですわ」
「え?」
「あっ七太郎さんはいいのですわ!ほら、誰にも真似できないものを持っていますもの!」
「んん?」
なんか、マリ汗かいてる?
「ほら、席に戻りましょう」
「ちょっと待って」
左手を掴む
「っっ!」
明らかにおかしい。勝手に袖を捲る。
「だ、だめですわ七太郎さん。そんな乙女の肌を…」
左腕全体があざのように紫色に染まっている。
「どうしたの!?」
「いえ、ちょっとさっきの試合で」
「サワの魔法?」
「違いますわ違います。…最後の魔法、私の魔力だけでは足りないので、ちょっと無理やり筋力から引っ張ってきたので」
「マリ…、順位なんかより大事なものがあるんだから無理しないでほしい。順位は取り戻せても壊れた体は戻らないよ」
「…わかりました。実力に見合わないことはもうしませんわ。ただ、人に何かを言う以上はわたくしも覚悟を持ってやっているということを示したかったのです…」
「そっか。マリは優しいね」
「違います!ただの自己満足ですわ!」




